テレワークの次に来るもの ― スカイカラー社会が変える組織のあり方 ―
私は、このブログでも何度もテレワークや在宅勤務、リモートワークについて書いてきました。
その理由は単純です。
私自身が34年前に会社を創業したときから、そのような働き方を実践してきたからです。
当時はまだ「テレワーク」という言葉すら一般的ではありませんでした。
私は会社員として9年間働いた後に独立しました。
もちろん会社員時代にも多くを学びましたが、一方で「会社という場所に縛られる働き方」に対して、どこか違和感も感じていました。
もっと自由に働けないだろうか。
場所に縛られず、時間にも縛られず、本当に価値を生み出すことに集中できる働き方はないだろうか。
そんな思いから、私は創業当初からSOHOというスタイルを取り入れました。
その後、ベトナムをはじめ海外との仕事が増えました。
時差があり、距離もあります。
しかし仕事は進みます。
オンライン会議を行い、資料を共有し、プロジェクトを進める。
今では当たり前のことですが、私たちにとっては30年以上前からの日常でした。
そして2020年。
コロナ禍によって、世界中が一斉にテレワークへ移行しました。
これまで「できない」と言われていたことが、一気に「できる」に変わった瞬間でした。
多くの企業が在宅勤務を経験し、多くの人が通勤のない生活を体験しました。
働き方は劇的に変わったように見えました。
しかし数年が経った今、また違った景色が見えてきています。
大企業の中にはオフィス勤務へ回帰する会社も増えています。
「やはり人は集まるべきだ。」
「雑談や偶然の出会いがイノベーションを生む。」
そんな声も多く聞かれるようになりました。
私は、この流れを否定するつもりはありません。
人類はいつの時代も試行錯誤を繰り返してきました。
新しい技術が生まれれば、一度極端に振れます。
その後、成功も失敗も経験しながら、少しずつ最適な姿へ落ち着いていく。
今回のテレワークも、その過程にあるのでしょう。
しかし、私は一つだけ確信していることがあります。
それは、コロナ禍を経験したからこそ、「組織のあり方」そのものを見直す時代が始まったということです。
私は以前から「スカイカラー社会」という考え方を提唱しています。
スカイカラーとは、働く場所や所属する会社を中心に社会を考えるのではなく、人がどう生きたいか、どんな価値を実現したいかを中心に組織を考える社会です。
例えば、子育てや介護で在宅勤務しかできない人もいます。
転勤を望まない人もいます。
都会ではなく地方で暮らしたい人もいます。
海外に住みながら日本の仕事をしたい人もいます。
人生にはさまざまなライフステージがあります。
その中で、「どこで働くか」よりも、「どのように生きたいか」のほうが重要ではないでしょうか。
会社が勤務形態を決める時代から、自分自身が働き方を選ぶ時代へ。
私は、その流れはもう止められないと思っています。
そして生成AIやデジタル技術の進化は、この流れをさらに加速させるでしょう。
これからは、オフィス勤務か、在宅勤務か、テレワークかという議論自体が、本質ではなくなります。
もっと大切なのは、「何を実現したい組織なのか」ということです。
例えば、「地方創生を実現したい」「医療を変えたい」「教育を変えたい」「環境問題を解決したい」。
そんな志を掲げる組織があったとします。
その志に共感する人が、日本全国だけでなく世界中にいたらどうでしょう。
その人たちは、一つのオフィスに集まらなくても、一つの目的に向かって活動できます。
生成AIは知識を共有し、オンラインは距離をなくし、多言語AIは国境を越えて人をつなぎます。
これまで実現できなかった組織の形が、現実になろうとしています。
もちろん、そこにはリーダーが必要です。
価値観を共有し、方向性を示し、人をつなぐ存在です。
組織はなくなるわけではありません。
むしろ、組織の存在意義はこれまで以上に重要になります。
ただし、その組織を支えるものが、「会社の所在地」ではなく、「理念」や「目的」へと変わっていくのです。

私は34年前、SOHOという働き方に挑戦しました。
当時は「変わった会社だ」と言われたことも少なくありません。
しかし今振り返ると、それは働き方の実験だったのだと思います。
そして今、生成AIの登場によって、もう一度、組織そのものを再設計できる時代がやってきました。
私は創業時の原点に立ち返りたいと思っています。
場所ではなく志でつながる会社。
勤務形態ではなく目的で集まる組織。
そんな新しい企業モデルへ、自ら進化していきたいと考えています。
そして同じように挑戦しようとする企業や経営者を、これからも応援し続けたいと思います。
テレワークは目的ではありません。
在宅勤務もオフィス勤務も手段に過ぎません。
本当に問われているのは、「どのような組織なら、人はもっと自由に、もっと幸せに、もっと社会へ貢献できるのか」ということなのです。
私は、その答えの一つが、スカイカラー社会の中にあると信じています。
