見出し画像

【猫の偏愛】

みなさま、こんにちは。

コンテスト「#今年学んだこと」に、たくさんのご応募をいただきありがとうございました。

結果発表までの期間、「#今年学んだこと」にちなんだミニ企画を行います! 第1弾は「偏愛」をテーマに、noteクリエイターさんにご寄稿いただきます。題して「偏愛のススメ」。

今回ご寄稿いただいたのは、やーこさんです。やーこさんといえば、抱腹絶倒のエッセーでファンを魅了する人気作家。

そんなやーこさんの偏愛の対象とはいったい……!?


我が家には先住猫と後から加わった猫の、二匹の猫がいる。
後から加わった猫は、縄張り意識を超え共に過ごす事を許した先住猫を敬愛し、それはもはや偏愛の念に達している。
それは陽が空に昇ると共に発揮される。


猫の朝は早い。
まずは寝ている人間のチェックから始まる。

治療中の為に装着されたエリザベスカラーで人間の顔を包むように固定する事がコツであると猫は語る。チクチクのヒゲと鼻息を人間の顔に添えることも怠らない。
おかげで私の朝は巨大な猫の顔面から始まる。


そして、大好きな先住猫への挨拶も欠かさない。

「礼儀を重んじること、それが何よりも大切なこと」だと猫は語った。
人間は、先住猫の表情から「礼儀とは」と今一度考えさせられた。
猫一匹分の重さの偏愛の念が、先住猫にのしかかっている。


傍から見ても猫のエリザベスカラーによって日頃の倍に先住猫が迷惑そうであった。
しかし、ついに治療が完了し猫の顔周りは解放され、元のプレーンな猫の状態に戻った。

あまりに嬉しかったのか、猫は病院から帰宅するとすぐさま先住猫の眠るところへ行き身を寄せた。

これで先住猫も後から加わった猫に身を寄せられても楽になることだろう。
猫はこの喜びを伝え、存分に甘えようと先住猫に額をすり寄せた。


だいぶ雑に退けられた。

エリザベスカラーの問題ではない。
単純に鬱陶しかったようである。


瞳による牽制も忘れない。

猫の偏愛がすれ違った瞬間である。


しかし、約二ヶ月間にもわたりエリザベスカラーによって隔たれていた先住猫への親愛の念や甘えたい欲は爆発している。
こんなにも雑に牽制されているというのに、 ふと視線を横に映せば、おざなりに積まれたふわふわな塊が視界に入った。

長距離移動に耐えきれず、 ひしめき合ってしまったお土産の大福に似ている。


「偏って愛する」と書くと何故だか一瞬不穏なオーラを感じるが、猫大福であれば微笑ましい。
しかし、先住猫としては良い迷惑かもしれぬので、常日頃より先住猫に聴き取り調査の時間を設けている。
今のところは問題ないとのことである。
しかし、聞き取りの際、私はチュールを一本失った。

机の上でチュールを所望する先住猫

ここまでお読みくだされば薄々勘付いている事と思われるが、何より私が猫達を愛し、それが偏愛に属することはもはや隠しようもない。
文中から猫を偏愛する不審者の気配が滲み出ていないかが心配であるが、愛故であるのでどうか大目に見て頂きたい。

例え、私がステテコ姿で猫大福の溜まり場に参戦し、床に転がりながら愛猫を讃える歌を唱歌している現場を目にしたとしても、どうか大目に見て頂きたい。

特に、先日その様を目撃したエアコンの業者の方々に強くそう申したい。新人を連れていたというのに、妙なものを見せてしまって申し訳なかった。
願わくば、ステテコ姿と奇妙な歌などどうか一刻も早く記憶から消し去っていただくか、疲れからくる幻覚として脳内処理を施してほしい。
 
皆様も「偏愛」の暴走については、十分気をつけられたし。
社会的に死滅しない事を願う。