柴犬 愛輝の犬聞録|ボクはキツネじゃない。柴犬だ!
お空から、こんにちは。柴犬の愛輝です。
ノルウェーには、日本みたいにガラス越しに子犬や子猫が並ぶお店はない。
カオリちゃんいわく、「動物は商品じゃない」という考え方が当たり前なんだそうだ。
新しい家族を迎える方法は、だいたい2つ。
ブリーダーさんのところに会いに行くか、それとも保護施設から迎えるか。
どっちにしても、「選ぶ」というより、「出会う」に近いらしい。
ボクたち兄弟も、そうやってそれぞれの家族と出会った。
ブリーダーさんのお家で生まれ、そこで出会った人たちのもとへ、それぞれ旅立っていった。
ボクの場合は、生まれてすぐカオリちゃんと出会い、8週目でカオリちゃんのお家へ行った。
ヨーロッパにおいて、柴犬(Shiba Inu)はとても人気がある。カオリちゃんの調べによると、1980年ごろに最初の柴犬が海を渡り、スウェーデンにやってきたらしい。
とはいえ、まだまだ珍しい存在だ。散歩をしているとよく話しかけられるし、違う犬種に間違えられることも多かった。
ボクがよく間違えられた相手、トップ3を紹介しよう。
第3位:Norwegian Buhund(ノルウェー犬)

photo by k
「ブーフント」はノルウェー語で「農場犬」という意味。この子は、いつもお家のお馬さんを守っている頼もしい女の子だった。
コーヒー牛乳みたいな水たまりの水をガブガブ飲み、春先の雪解けの時期には、いつ会っても体の下半分が泥だらけだった。
……なかなかワイルドな子であった。
ボクと同じ、立ち耳に巻き尾。そのせいで、よく間違えられた。そのたびにカオリちゃんは、「Nei, det er en japansk hund, Shiba(いいえ、日本の犬、柴犬です)」と答えていた。
カオリちゃんのノルウェー語は最後まで怪しかったけど、このフレーズだけは完璧だった。
第2位:秋田犬(の子犬)

ノルウェーでも、映画「Hachiko: A Dog's Story」の影響で、秋田犬はとても有名だ。だからよく、「映画の犬ですか?」「映画の犬の子犬ですか?」って聞かれた。
違う!
ボクは柴犬だ。しかも、立派な成犬だ。
ちなみにノルウェーには、日本犬の愛好家コミュニティがいくつか存在する。秋田犬クラブのほうが、柴犬よりも少し歴史が長いらしい。
秋田犬は勇敢で穏やかな犬だというイメージがあり、深いリスペクトを集めている。
でも、勇敢さでいったらボクだって負けてはいない(多分)。
第1位:キツネ
もはや犬ですらない。
冗談半分、本気半分で、いちばん多かったのがこれだ。小さな子どもたちにこうよく叫ばれた。
「Se! Der er en rev!(見て見て、キツネがいるよ!)」
ボクはキツネじゃない。
……犬だ。柴犬だ。

photo by k
写真は、山のお家によく来ていた夜中の訪問者だ。カオリちゃんは、この子たちを「キツ」と「ツネ」と名付けていた。
キツとツネは、いつもひっそりやってくる。でも、ボクにはわかる。きたよ!と、カオリちゃんに知らせるのが、ボクの役目だった。
カオリちゃんは、どういうわけか動物に好かれる。野生のキツネとの距離は、日を追うごとに、年々、少しずつ縮まっていった。そしてついには、写真を撮れるほどの距離まで来るようになり、窓を開けても、逃げなくなった。おまけに、カメラ目線までくれるようになった。
ある日、ボクも窓ガラス越しに、キツとツネと鼻を近づけ、互いの匂いを確かめ合ったことがある。
向こうも、「似てるな」と、思っただろうか。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
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