一度の失敗が頭から離れない日【ココロを軽くする短篇集】:第15話
また同じことやってる気がした。
夕方、娘が机に向かっていた。
ノートを開いて、問題を解いている。
しばらくして、ため息が聞こえた。
そのあと、ペンが止まる。
その様子を見た瞬間、前のことが浮かんだ。
【過去に引っ張られる瞬間】
この前も同じだった。
途中で止まって、結局時間がかかっていた。
その記憶が、そのまま今に重なる。
『また止まってるの?』
そう言いかけて、少しだけ止まった。
本当に同じなのか、少し気になった。
【思い出していたもの】
頭に残っているのは、うまくいかなかった場面だった。
時間がかかった日。
うまく進まなかった日。
その印象が強く残っている。
でも、それ以外の日もあったはずだった。
普通に終わった日。
スムーズに進んだ日。
それはあまり思い出せなかった。
【見えてきた仕組み】
人は印象が強い出来事ほど、
思い出しやすくなるらしい。
特にうまくいかなかったことは、
記憶に残りやすい。
その結果、いつもそうだと感じてしまう。
私は一回の失敗を、
何度も起きていることのように見ていた。
【今を見る】
娘を見る。
確かに止まっている。
でも、さっきまで進んでいた。
ノートにはちゃんと書いた跡がある。
途中まで来ている。
前と同じとは限らない。
そう思えたとき、少しだけ見方が変わった。
【今日のワーク】
思い出した記憶だけで判断しない。
『いつもこう』と思ったら、
他の場面も一つ思い出す。
私は少しだけ言い方を変えた。
『さっき進んでたよね』
娘は少し顔を上げて、
『うん、ちょっと考えてる』と答えた。
そのあと、またペンが動き出す。
さっきよりも自然な流れだった。
記憶に引っ張られると、今が歪む。
今を見れば、それはほどける。
今日は、それをちゃんと感じた。
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過去の印象に引っ張られてしまうこともありますよね。
今を見直すだけで、見え方が変わることもあります。
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