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yukko_96
娘と初めて会った日
夫が分娩室に呼ばれた。
先生から説明を受けたらしい。
私はもう、
痛みで意識が朦朧としていて、
何を話していたのか覚えていない。
帝王切開に切り替わり、
私はそのまま手術室へ運ばれた。
その後の記憶は、
ほとんどない。
気がつくと、
娘は産まれていた。
あとで先生から聞いた。
娘は、
お腹を開いたとき、
顔が上を向いたままだったらしい。
本来なら、この段階では
赤ちゃんは下を向いているらしい。
でも、
娘はそうならなかった。
回旋異常という状態だった。
娘は、
3900グラムで生まれた。
そりゃ、
健診のたびに、
「頭が大きいね」
と言われるわけである。
しばらくして、
助産師さんが笑いながら言った。
「いやあ、大変だったね。
原始時代だったら、
母子ともに助からなかったよ」
へえ、
そうなんだ。
それが、
その時の正直な感想だった。
医学の進歩に感謝する場面だったのかもしれない。
でも、
痛い。
眠い。
動けない。
その頃の私は、
それだけで精一杯だった。
そして、
娘の顔を見た。
その瞬間、
涙が一筋、
流れた。
やっと会えた。
3900グラム。
最後まで、
なかなか手強い娘だった。
でも、
あの日流れた、
その涙の一筋だけは、
26年たった今でも、
はっきり覚えている。
