国内のルシアー2:塩崎雅亮

今回は国内きってのベテランルシアー、塩崎さんについて。

1 ざっくり概要

愛媛に工房を構える超ベテランルシアー。詳細な製作本数は不明ですが、国内でも有数の本数なのはおそらく間違いなし。

基本的にはマーティンレプリカやその派生モデルが多いですが、フィンガー特化モデルだったり、ソモギっぽいモデル(俗称ヨモギ?)だったりも少量製作されています。

お弟子さんもそれなりに採用されてましたが、今はいるのかしら。
著名なところだとカオルギターの中島さんはこちらの出身ですね。

塩崎さん関連のブランドはおっさんから見たサマンサタバサくらいに展開が複雑です。

正確かは怪しいですが、私の認識では、

1990年代中盤くらいまで:シーガルブランドでマーティンタイプを自社生産
以後2010年くらいまで:マーティンタイプのシーガル、オリジナルタイプのエムシオザキ、楽器店オリジナルブランドのallmanなどブランド表記は別だが自社生産で外注せず
2010年くらいから:マーティンタイプも含め自社完全生産の個体をエムシオザキ、一部外注の個体をシーガルと呼称

現在のブランド展開はエムシオザキとシーガルで、エムシオザキ名義のモデルはご自身で工房で製作しているもの、シーガル名義のはトップなどの要所の製作は工房で行い、それ以外の箇所はどこかの工場に委託しているもの、という違いだったかと思いますが、詳細はググってください。

以下では自社生産の個体を前提にお話します。

現在のベースプライスは聞いていませんが、おそらく100万円まではしないのではないかと思います。

2 音の傾向など

(1)年代による音の傾向

年代によって音の傾向が違う印象です。

2000年頃までの個体は、すごくシンプルな音だと感じるものが多いです。やや硬めの芯がはっきりした音に、ほんのり響きが加わっている感じというか。

薄味か濃味かで言うとあきらかに薄味です(どちらが良いかは味噌汁と一緒で人それぞれ)。音楽的にはブルーグラスとかに合う感じですね。

マーティンレプリカのモデルであっても、音はそこまでマーティンにそっくりではない印象です。マーティンほどの音抜けは感じない一方で、マーティンよりはくっきりした音がするイメージです。いわゆる40番台(塩崎さんで言うと80番台)モデルであれば音はキラキラした感じになりますが、基本的には同じ傾向だと思います。

2000年頃から2015年頃の個体は、それ以前に比べてやや響きが加わりますが、基本的には芯がはっきりさが前に出てきます。味噌汁でいうと薄味がやや薄味になった感じ。

ちなみに、私は2000年代に塩崎さんのフィンガー向けモデルを1本オーダーしたことがあります。基本的な特性は同じです。高域が通常モデルよりは強調されたバランスになっているのでフィンガーでもしっかり使える音になっていますが、いわゆるフィンガー向けなルシアーギターほどは豊かな響きは感じません。

2015年頃以降はまた少し傾向が変わった感じがあり、最近の個体はそれなりに響く感じがするんですよね。とはいえ、濃味(ソモギとかオルソンとか)にはなってはいないです。元々の特性も失っていないので、バランスの良い仕上がりになっていると思います。個人的には古い個体よりも新しい個体の方が好きですね。

このように年代による違いはかなりあるのですが、いずれにしろ、基本的には芯のある音がウリのギターであり、響きの豊かさで勝負するギターではないと思っています。

(2)合いそうなプレーヤー

以前のモデルであれば、ブルーグラスはもちろん、フラットピックで幅広いジャンルを弾く方にはとても合うギターだと思います。コリングスにような華美さが苦手の人にはいいんじゃないでしょうか。
あとおすすめなのはマイクやピックアップを通して弾くことの多い人。芯がはっきりしている上に邪魔な響きがないので聞き取りやすいし非常にイコライジングが楽ですね。エフェクト乗りも良い。私は他にも何本かギターを持っていますが、録音するとなれば基本的には塩崎さんのギターを使います。

近年のモデルも基本的には同じような方におすすめですが、フィンガーでもある程度使えると思っています。とはいえ、基本的にはフラットピッカーの方がこのギターの特性は生きそうですが。

基本フラットピックだけどもたまにはフィンガーでも弾きたいし、ライブや宅録でも使いたいという方であれば非常に使い勝手がいいと思います。

(3)作りが頑丈

私は基本的に弦は緩めるんですが、このギターに関してだけは1〜2週間程度であれば貼りっぱなしにしていることもあります。それくらい丈夫に作ってます。20年以上経過しましたが、ラッカーに多少ヒビが入っているくらいで、全く問題ありません。

使用場所の関係で、他のギターほど良い環境で保管ができていない時期もあったのですが、全く異常は発生しませんでした(一緒に保管していたマーティンのビンテージはブレーシングのはがれ、ピックガードの縮み、マーティンクラックなどが発生しましたが、それはナイショ)。

ネックについても、こちらの要望で非常に薄く仕上げてもらった上、アジャスタブルトラスロッドがないタイプを選択したのですが、多少は歪むことはあれど大きく動いたりはしません。数回リフレットしましたが、その際に多少調整してもらえれば問題ないレベルでした。

(4)工房が大きい

ギター本体の話ではないですが、工房がすごく大きいです。古い旅館を改造したんだっけな。オーダーの際に訪問した際にびっくりしました。大きな機械などもたくさんあり、設備が充実している印象です。

3 まとめ

正直デザインは普通(ヘッドデザインはおしゃれだと思います)ですが、使いやすいギターですし、最近ギター全体の価格が高騰していることを考えると比較的リーズナブルに感じます。

もちろんメインギターでも良いですが、上記のような音の特性や頑丈さを考えると、弦太めとかピックアップマシマシ(どこのラーメン屋だよ)な運用をする前提でセカンドギターにするのも良いかと思います。