聞いてどうすんの?【続★まともな人からいなくなる#17】
本社からいわくつきの事務員、春ちゃんが医務室に異動してきた。
私は昨日、公休だった主任の代わりに指導係をしていたが、彼女からの個人的な質問には答えないようにとの指示を受けていたので答えなかった。
それにより、医務室はヒリヒリした空気になっていた。
出勤すると医務室のカギが開いていた。事務員の春ちゃんが既に来ていたからだ。
私はいつも30分以上早く出勤しているので、彼女の出勤時間の速さにびっくりした。
「おはようございまーす」
私は彼女に挨拶したが、彼女は私を無視した。
朝から気分悪くなることしてくるなーと思ったが、私も昨日、
「いつからここで働いてるんですか?」
「どこから通ってるんですか?」
という彼女の質問に「なんで?」と言って答えなかったのだから非はあるのかもなーと思った。
めんどくさいので、無視されていることを無視して私はいつも通り業務の準備をしながら缶コーヒーを飲んでいた。
すると、
「毎朝コーヒー飲むんですか?」
おはようは無視するのに質問はするんだな。
「聞いてどうすんの?」
「なんで私に質問するんですか?」
これはなかなかうっとぉしいなと思っていると、秋田主任が出勤してきた。
「おはようございます」
秋田主任も缶コーヒーを持っていた。
何か言うかと思ったのに、春ちゃんは秋田主任には何も言わなかった。
朝のミーティングも終わり、ユニットに行くエレベーターで秋田主任から
「昨日大丈夫だった?」
と聞かれたので、私は昨日と今朝のことを話した。
「やっぱりね」
秋田主任は「記録しといてね」そう言ってエレベーターから降りて行った。
やっぱりってなに?そう思ったけど、考えると病むので感情を切り話して仕事に集中した。
午前の業務が終わって医務室に入ると、私がデスクに置いていたポーチが無かった。
新しいボールペンとかUSBが入っていたので探していると、主任が戻って来た。
「私のポーチ知りません?」
「え?無いの?探すわ」
2人で探し始めた時、春ちゃんはデスクトップからUSBを抜き、私のポーチに入れてから
「はい」
と渡してきた。
「は?」
私はびっくりしてポカーンとした。秋田主任も、固まっていた。
「こんなところに置いてあるので中身確認しました」
春ちゃんは私のデスクに置いてあったポーチのことを、こんなところに置いてあると言った。
私は秋田主任からアイコンタクトをされたので、ポーチを回収しただけに留めた。
まぁ中を見てもシフト表と委員会のデータしか入ってないからいいけど、他人のポーチを漁ってUSBの中まで見るかね?
秋田主任は春ちゃんに何も言わず、薬品庫の棚を空けてみんなの荷物をそこに入れ、鍵をかけた。
お昼休憩になり、みんな医務室の食品用冷蔵庫からお弁当を出した。
私のお弁当はアンパンマンのランチクロスで包んでいるのだが、開けた痕跡がある。
「誰か私のお弁当あけました?なんか結びなおした痕があるんだけどー」
私はわざと大きめの声で聞いた。秋田主任は私に外に行けとアイコンタクトをするので、私はそのままお弁当を持ってカフェスペースに行った。
誰かがあけた弁当なんて絶対食べたくないので私は弁当を捨てた。
すると秋田主任が来て、私に医務室に置いてある非常食のカップラーメンをくれた。
そして
「もう医務室の冷蔵庫使わないで。事務所の冷蔵庫使わせてもらえることにしたから。私、春ちゃんと医務室でランチするわ」
秋田主任はそう言って医務室に戻って行った。
他人のポーチを漁るだけでなく、弁当まで開けるとは。
私の境界線、全部踏み越えてくるやん。
これは本社で問題になるわ。
私はそんな春ちゃんとこれから医務室でやっていけるのか、不安というより不快な気持ちでいっぱいになった。
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