空は青かった
一昔前の電車の駅には、プラットホームの途中から屋根がない場所も多い。
田舎の方ではそもそも野晒しの駅もあるけど、僕の住んでいる地域は、基本的に、急行の止まらない駅は、途中から屋根がない。
急行が止まる駅は、室内の駅というか、そもそも駅が少し豪華に作られていて、雨粒一つ入り込む隙はない。
駅外にしかトイレのない駅。改札前にお蕎麦屋さんのある駅。改札前に海鮮丼屋さんのある駅。カフェのある駅。お菓子の自動販売機がある駅。空調の効いた駅。売店の撤去された駅。
駅同士のヒエラルキーは確実に存在するのだが、駅それぞれの色を見せてくれる。
僕は最寄りの駅が大好きだし愛着もある。ただし、半分屋根の無い駅なのだ。
僕的駅ヒエラルキーは下の下。
そりゃ上を見ればまさに青天井。豪華絢爛を地で行く駅もある。頭では理解するけど、どこにいたってせめて雨はしのぎたい。
できれば蕎麦屋も本屋もほしい。
このままじゃ雨にも負けるし風にも負ける。実際負けてる。コールド負けしてる。
冬は寒くてコールドってか。ばかやろう。
しかも最近何やら工事中で駅が狭い。
頭にポツリと来た。
嘘だろ雨かよ。と空を見上げると、青天井を隠すように建設中の屋根が僕を見下ろしていた。
もう雨に悩む必要もなくなる。
これで全て終わる。平穏な日々が幕を開ける。きっと普通に通勤したり、普通に遊びに行ったり、日常の中で歳を重ねるんだ。
上等な駅への嫉妬に狂うことも、下を見て安堵を得ることも、過去のものになるんだ。
屋根は骨組みだけでまだまだ未完成だけど、鉄骨が力強くて美しい。この景色を夢見てた。
なんだか不思議で素直に喜べないや。実感がないというか、体がふわふわして、心臓の鼓動だけは強く早く高鳴り、感覚と肉体が乖離している。
ふと看板に目を向けた。
完成予定時期はずっと先みたい。
工事期間もまた青天井だった⭐︎
