『12編の短詩』雨
Ⅰ
雨が降り止まない
暮らしは続いてゆく
Ⅱ
窓ガラスについた無数の水滴で
風景が歪む
向かいの家の大屋根で
鴉が濡れそぼっている
Ⅲ
打ちつける雨に紺色の
レインコートの背中が霞んだ
Ⅳ
庭先の水たまりでズック靴が
片足 泥にまみれている 靴の上で
雨蛙が一匹鳴いている
Ⅴ
昨日開いた絵本のページに
今日雨が降った
窓辺で金髪のルーシーが泣いた
Ⅵ
台風はもう行ってしまったの?
寝床の中で子どもが尋ねる
風が止んで
黄色い窓灯りに雨筋が
絹糸のように浮かび上がる
Ⅶ
雨雲が
記憶に影を落として過ぎる
山の上の あの教会堂も今頃は
雨に濡れているのかしら?
Ⅷ
雨が降りしぶいていた
君の右手から水たまりの中に
真っ赤なりんごが転がり落ちた
Ⅸ
ランドセルの黄色いカバーは
どこに仕舞われてしまったの? と
あなたが聞いた
お座敷の外を
驟雨が声をかき消していった
Ⅹ
雨雲が走ってゆく
降りしきる雨の向こうに灯台が
いつかの追憶のように消える
Ⅺ
列車の窓に顔を寄せて
流れる雨をあなたは見ていた
白波が
線路の下を崩れていった
Ⅻ
ドアの向こうから
キーボードを叩く音が聞こえている
町はずっと雨のなかだ
こんな夜遅い時刻まで
短詩というのは難しいです。
同じ「短詩」というくくりで短歌や俳句があるのですが、それらは字数が決まっているのできっちり止めることができるのに比べ、そうした決まりのない、単純に短いだけの詩、というのは、これで終わりでいいのかしらん? と不安になります。
きっぱりとこれで完成! とおもえるものもあれば、何か、終わった気がしないな、というものもあって、自分でもイマイチ落ち着かない感じです。中にはまるで演歌の一節のようなのもあったりして、どうにもすっきりしない。短いものが書ける人は尊敬に値します。
一度は書いてみたけれど、やっぱり続きを書きたくてここからは外したものもあります。一瞬のスパークが決まっていればいいのだけれど、なかなか・・・
台風のせいで、うちの北や南では大変なことになっていますが、うちのあたりは浸水したり冠水したりといったことはまずありません。だから呑気にこんな詩のようなものを書いていられるのですが。
文字通り、今回は「詩のようなもの」です。ハッシュタグは一応詩にするのだけれど、おこがましいような気がしてならないです。
今回もお読みいただきありがとうございます。
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