セッション定番曲その153:There Is No Greater Love
ジャズセッションの定番曲、歌う場合にはバラードかミディアムスイングで。インストだとバカっ速い演奏もあります。黒本で「Greater Love」で探して見つけられない人がよくいることでも有名。
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:Nat King Cole
イントロの弦楽器の音から期待感が高まりますね。すべてを包み込むような温かくて優しい滑らかな歌声。最高に気持ちいいですね。「ジャズボーカルは結局 Nat King Cole」と教えてくれた寺久保君、ありがとう。
ポイント2:Amy Winehouse
2003年録音、2分間の歌い切りです。21世紀のボーカルシーンを牽引するのではと期待されていたAmy Winehouseは破天荒なライフスタイルまで昔のミュージシャンを踏襲してしまい、オーバードーズで亡くなってしまいました。過剰なビブラートを掛けずに、節回しで聴かせるスタイルはなんか懐かしいですね。
ポイント3:歌詞のポイント、発音のポイント
There is no greater love than what I feel for you
No greater love, No heart so true
「no 〜than」は「xxx 以上のものはない」。
私があなたに抱いている愛情以上のものはこの世に存在しない、と
There is no greater thrill
Than what you bring to me
No sweeter song than what you sing to me
あなたが私にくれる「ワクワク感」は至上のもの
あなたが私に歌ってくれる歌よりも素敵な歌なんてない
「thrill」は「th」「R」「L」と難しい発音が詰まった単語ですが、一気に発音してしまいましょう。(カタカナで考えちゃ絶対ダメです)
この後も、いかに相手(の愛)が素晴らしくて、自分が夢中なのかという歌詞が続きます。
内容的には確かに「Great Love」について歌っているのですが、「No Greater Love」と「否定+比較級」になっているのがミソですね。
ポイント4:歌い方のポイント
構成は典型的なAABA、32小節。歌い出しの上昇3音をうまくつかまえるのがポイントです。イントロをよく聴いて、タイミングを合わせて歌い始めましょう。音域はそんなに広くないので、最高音も最低音もきれいに出せると思います。
Bパートは17-18小節と19-20小節はコード進行は一緒なのに音階が全音上がっているという騙し絵みたいなメロディです。

ポイント5:様々な歌唱
Aretha Franklin、1965年録音
初期のアレサをコロンビアレコードはスタンダード歌手として売り出そうとしていました。これはこれで魅力的でスケールの大きさを感じさせる歌声ですが、やはりエネルギーを持て余している感じもしますね。彼女が歌うとゴスペルのように聴こえて、歌い掛けている相手は「神様」なのかと思ってしまいます。
Patti Page、1953年録音
当時のポピュラー音楽としての録音。伸びやかで綺麗な、破綻の無い歌唱。歌詞の意味もよく伝わります。現代のジャズ歌手でもこういう歌い方をする人はいますし、ジャズボーカル教室でもこういうのをお手本に教えているところもあるようですが、やはりスタイルとしては少し古い気がします。
Dinah Washington、1954年録音
ブルース成分多めの、激情型の歌い方のDinah Washington。上記のPatti Pageと比べると「うまく歌おう」というより「自分の表現をしよう」という姿勢が伝わると思います。
Denise Jannah, Wolf Martini、2013年録音
ギターとのデュオでスインギーに歌っています。スキャットも丁寧で、スイング感を維持しているのは流石。
ポイント6:様々な演奏
Mike Stern、1992年録音
ファンク/フュージョン的な演奏のイメージが強いですが、スタンダード曲でバップ的な演奏をしても抜群に上手いです。凄すぎて参考にはなりませんが。
Miles Davis、1964年ライブ録音
Tony Williamsがドラムなので、かろうじてジャズに留まろうとしているマイルスを煽りまくっています。
Sonny Rollins、1957年録音
ピアノレス・トリオでの演奏。コード楽器が無いことで自由度が増している?昔ジャズ喫茶で流れていたのって、こういう感じだった記憶が。
McCoy Tyner Trio、1962年録音
冒頭からオカズたっぷりの演奏。
Wynton Kelly Trio, Wes Montgomery、1966年ライブ録音
速いテンポでの演奏。音は悪いけど、目の前で演奏しているような迫力があります。
◼️歌詞
There is no greater love than what I feel for you
No greater love, No heart so true
There is no greater thrill
Than what you bring to me
No sweeter song than what you sing to me
You're the sweetest thing
I have ever known
And to think that you are mine alone...
There is no greater love in all the world
It's true
No greater love than what I feel for you
