セッション定番曲その223:I Could Write A Book
ジャズセッションの定番曲。「恋をするとみんな小説家」という感じの可愛いメロディと歌詞です。Rodgers and Hartが1940年に書いたミュージカル曲。もっと人気曲になって欲しい一曲です。
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:The Miles Davis Quintet
1956年、いわゆる「マラソン・セッション」より。おそらくこの曲で一番有名な録音です。レーベルとの契約消化の為にバンドメンバーに馴染みのあるスタンダード曲を選んで、集中して演奏したことから名演が生まれました。
常に「新しいジャズ」開拓に邁進し続けたMiles Davisですが、その功績は認めながらもジャズ奏者としての彼はこの時期が一番良かったと支持する人も多いですね。
ポイント2:Harry Connick Jr.
1989年録音、「When Harry Met Sally(恋人たちの予感)」という映画で使われて大ヒットしました。時代的には「古臭いラブソング」だったはずですが、それが逆に新鮮だったのかもしれません。速いテンポの会話が飛び交うシーンが多い映画ですが、そこにゆったりしたテンポのジャズ曲が挟まると絶妙なバランスになります。
Harry Connick Jr. は歌手、ピアニスト、作曲家、俳優と幅広い活動を続けており、米国では安定した人気があります。ジャズが中心ですが、それに固執せずに現代的な曲も歌っています。
ポイント3:Ella Fitzgerald
1956年録音、意外と長いVerseから丁寧に歌っていて、まるでミュージカルのようです。技巧に走らず素直に歌うエラはいいですね。
ポイント4:歌詞のポイント
短い歌詞ですが「本(小説)」をモチーフに使って、恋模様を情熱的に描写しています。少しですが「preface」「plot」などの書籍用語を盛り込んでいるのもおしゃれですね。
If they asked me, I could write a book
About the way you walk, and whisper, and look
I could write a preface, On how we met
So the world would never forget
「自分の好きな人についてどのくらい詳しく知ってるの?」と聞かれた主人公は「彼(彼女)についてなら本を一冊書けるくらい何でも知っている」と自信たっぷりに答えます。
「preface」は「本の序文」で、ふたりの出会いから物語は始まります。
好きな人の歩き方、囁く声と言葉、どんな見た目なのか、と詳しく書いていきます。本にしておけば、ふたりの物語は永遠に残ります。
And the simple secret of the plot
Is just to tell them that I love you a lot
And the world discovers, As my book ends
How to make two lovers, Of friends
この本の筋書きには秘密があって、物語を通していかに自分がその人のことを愛しているかというエピソードが沢山盛り込まれているようです。
そして本の終わりまで読めば、「友達」だったふたりが「恋人」になっていった訳が分かるようになっています。
「make xxx of yyy」は「yyyをxxxに変えていく(変わっていく)」という意味。
「Just Friends」という曲では「恋人からただの友達」への関係性の変化が描かれていますが、この曲では逆でとりあえずハッピーエンドですね。
ポイント5:Verse
いかにもミュージカルっぽい、導入部としてのVerseがあります。
内容は「これまでは読み書きはあまり得意じゃなかった」というもの。
自分のライブならゆったりVerseから入るのもアリですが、メロディの起伏もあまりなく、他の演奏者が待つだけの時間になってしまうので、ジャズセッションの場合はVerse抜きで平歌(コーラス)に入るのが良いかもしれません。
平歌の後、またVerseに戻って「読み書きはあまり好きじゃなかった」と語るパターンもあるようです。
ポイント6:曲の構成


ポイント7:様々なバリュエーションを聴いてみましょう
Anita O'Day、1960年録音
語るように歌うメロディフェイクがいい味です。
Dinah Washington、1955年録音
喜びを隠しきれない雰囲気
Jeanne Lee, Mal Waldron、1994年録音
ベテラン同士のデュオ、しっとりした雰囲気で「歳を取った女性が過去を懐かしみ振り返る」雰囲気に聴こえます
Sonny Rollins, Don Cherry、1962年録音
ピアノレス編成の4人組での演奏
George Benson、1989年録音
軽快なギターインスト
George Van Eps, Howard Alden、1992年録音
しっとりとしたギターデュオ
Harold Lang, Beverly Fite、1950年録音
ミュージカル調の歌唱、平歌→Verse→平歌という構成。
◼️歌詞
(Verse)
A B C D E F G
I never learned to spell, At least not well
1 2 3 4 5 6 7
I never learned to count, A great amount
But my busy mind is burning to use what learning I've got
I won't waste any time
I'll strike while the iron is hot
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If they asked me, I could write a book
About the way you walk, and whisper, and look
I could write a preface, On how we met
So the world would never forget
And the simple secret of the plot
Is just to tell them that I love you a lot
And the world discovers, As my book ends
How to make two lovers, Of friends
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Used to hate (/love) to go to school, I never cracked a book
I played the hook, Never answered any mail
To write I used to think was wasting ink
It was never my endeavor, To be too clever and smart
Now I suddenly feel, A longing to write in my heart
