#53 ミニマリストへの憧れ 〜「片づけ」について思うこと〜
先週、クライアントさんとのセッションの最後に、「浩平さんが家の片付けをどうやっているか知りたい」というリクエストを頂いた。私の Zoom 背景は白い壁紙のガランとした部屋にしているのだが、「本当にそういう部屋に住んでいそうですね」とも言われた。
実際、私にはミニマリスト志向なところがある。ただ、本物のミニマリストとは比較にならないし、家にはそれなりにモノがあふれている。そういった断りを入れた上で、今回は「私の片付けに対する考え方」を書いてみようと思う。
ミニマリストは「捨てまくる変態」ではない
私がミニマリスト志向になったのは、5 年前に一冊の本を読んだことがきっかけだ。
本のタイトルは「ぼくたちに、もうモノは必要ない。─ 断捨離からミニマリストへ」。最初は中田敦彦さんの YouTube 動画で知った。前編・後編合わせて1時間ほどの動画で、内容がよくまとまっているのでこちらもおすすめしたい。
この本の第1章で語られているのが、ミニマリストの「正しい定義」だ。
間違った定義は、「モノを捨てまくる変態」。パソコンと観葉植物だけが置かれた部屋で微笑んでいる人というイメージを、正直私もこの本を読むまでは持っていた。
そうではなく、正しい定義は「大切なものにフォーカスしている人」だ。
多くの人はモノが多すぎて、自分にとって何が本当に大切なのかが見えなくなっている。服、文房具、スマホの写真フォルダ……そもそも自分がどれだけのモノを所有しているか、把握できている人は少数派だ。
本の中に、刺さる記述がある。人間は、どんなに欲しくて手に入れたモノでも、時間が経つと「慣れ」が生じ、やがて「飽き」が来る。そしてさらに新しい刺激を求める終わりなきループに陥る、というものだ。
これを読んで思い出したのが、昔の職場の同期と先輩の話だ。2 人ともマツダの車を購入し、5 万円以上の追加料金を払って特別な赤色の塗装にしていた。
実際、あの赤色はカッコいいと思う。街中で見かければ目を引く華がある。
しかし、その 2 人が口を揃えて言っていたのが、「1 週間で飽きた」という言葉だった。衝動的な物欲で手に入れたモノは、すぐに飽きる。なんなら、手に入れた途端に魅力的でなくなる。当時、他人の失敗を通して学んだこの教訓は、今も私の中に深く刻み込まれている。
正しい意味でのミニマリストは、自分にとって本当に大切なモノが何かを分かっている。結果、物質的には豊かに見えなくとも、精神的に豊かな暮らしを送っている。
余談だが、映画「パーフェクト・デイズ」の役所広司さん演じる主人公が、まさにそういう人だった。せまい借家で、決して多くはない物と共に暮らしている彼は、趣味の盆栽や小説といったモノにはしっかりスペースを与えて、そのすべてを大事にしていた。ああいう暮らしに、憧れる自分がいる。
片づけ実践テクニック 3選
では、具体的にどう動くか。
本の中で説明されているテクニックのうち、私にとって特に有効だったものを 3 つ紹介する。
① デッドスペースを活かさない
ベッド下や家具の隙間といったデッドスペースを、収納にフル活用するのをやめる。デッドスペースはその文字どおり「モノの墓場」になる。
有名なパーキンソンの法則に「時間やお金は、あればあるだけ使ってしまう」というものがあるが、収納にも同じことが言える。隙間は隙間のまま、風通しよく空けておく。
② 「1年使わなかったモノ」は捨てる
季節がひと巡りする間に一度も出番がなかったモノは、今の自分のライフスタイルに必要ないことを意味する。「いつか使う」の「いつか」は永遠に来ない。したがって、今この瞬間に捨てる。このくらいドラスティックに捨てていかないと物は減らない。そして、物が減らなければいくら整理しようとしても限界がある。
結局、片づけとは整理するよりも、捨てることの比重がはるかに大きい。「片付け = 捨てること」という認識が大切だ。
③ 「思い出の品」はデータにして手放す
子どもが保育園で作った作品や、人から頂いたが使わなくなったモノは、写真に撮ってクラウドに保存し、現物は手放す。つまりは捨てるか、使ってくれる人に譲る。
私の場合は、 LINE で自分だけが参加しているトークルームを作り、その中に「想い出の品々」というアルバムを作っている。容量は 1 アルバムあたり最大 1,000 枚、1トークルームには 100 アルバムまで作れるので、まず足りなくなることはない。
人から頂いたモノを捨てることへの抵抗は、私も根強くある。ただ、本書はこうも言っている。
プレゼントの本質はモノそのものではなく、「相手が自分のために時間やお金を使って喜ばせようとしてくれた気持ち」である。受け取って「ありがとう!」と喜んだ時点で、そのプレゼントの役割は全うされている。
これはド正論だと思う。ただ、正論であることと即実践できることは別物どころか、反比例することもある。私もおそるおそるやっているのが実態だ。
【余談】
私は書類整理についても、ある時からデジタルに移行した。インターネット回線の契約書類でも、保育園のお知らせでも、Google ドライブのアプリ上でスキャンして保存し、紙の原本は破棄する。フォルダやファイル名称には、日付と「あとで検索する時に使いそうなワード」を入れておくことがポイントだ。
【大事な注意点】 優先順位を間違えない
最後に、私の恥ずかしい失敗談をシェアする。
過去に私の「片付けたい欲」が行き過ぎて、妻と争いになったことがある。それも一度ではなく、複数回。
前提として、妻も基本的に片付け・掃除好きなので、わが家は小さい子どもがいるとは思えないくらい整っている方だ。
それでも「捨てる・捨てない」で衝突した。この「捨てたい夫 vs 捨てたくない妻」(またはその逆)という構図は、多くの家庭で起きているのではないか。
今改めて思うのは、「家が片付いていることより、家庭内が平和であることの方がはるかに大事」ということだ。本の内容は、家庭の状況に合わせてアレンジすることが絶対に必要だし、特に子どもがいる家庭ではモノの数が跳ね上がるので難易度もアップする。夫婦間でお互いの考えを共有しておくことが、何より大切になってくる。
まとめ
ミニマリストとは「モノを捨てまくる変態」ではなく、「大切なモノが分かっている人」を意味する。片付けの本質は整理ではなく捨てることにあり、「1年使わなかったら手放す」という基準は非常に強力だ。モノを減らせば思考はクリアになり、節約にもなる。
ただし、それ以上に大切なのは、「家庭内平和」という最優先事項を間違えないことだ。片付けはあくまで、豊かな暮らしのための手段に過ぎない。皆さんも、くれぐれもお気をつけて…!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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▼浩平のプロフィール
・コーチ 4年目(2026年6月現在)
・京都大学工学部 / 同大学院 → 技術職 9年 → 教育ベンチャー 3年 → 独立
・座右の書:Atomic Habits
・好きな習慣:早起き / 読書 / 内省 / 筋トレ
「理系院卒 → 大手終身雇用」というレールを離れ、36歳でライフコーチとして独立しました。自分の意思(Will)でキャリアを選択するための、読書やジャーナリング習慣の重要性について発信しています。
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