#280 腹落ちを作るためマネージャーは何度でも語る ~目標設定を“やらされ感”で終わらせない~
新年度が始まり、今年も新入社員を迎えることができました。新年度の目標設定の季節ですね。
今回は、部署目標をどうメンバーに腹落ちさせたか(=センスメイキング)について、私の部署での実践を振り返ります。
〇伝わるまで、伝える。まずは「回数」が前提
ある内容を n回 話すと、自分の意図が伝わる人数は「2のn乗」になる、という説があります。
1回話すと2人に伝わる
2回話せば4人
3回で8人…
つまり10人に意図を届けるには、少なくとも4回は同じことを伝える必要がある、という計算です。
逆に、N人に一度に話す場面では、「√N回」は繰り返さないと、1人に話すときと同じだけの効果は生まれないとも言われます。
この考え方は、同じ内容でも人によって受け取り方や解釈が違うという現実に対して、非常に納得感があります。
伝える側としては「1回で伝わってほしい」と願いたくなりますが、それは送り手の都合でしかありません。「言ったからOK」は、伝える側の怠慢。100回でも伝える覚悟が必要です。
〇部署目標の意義を伝え、行動につなげる
会社の年度目標が共有された後、私たちの部署でも今期の目標を設定し、それをメンバーに伝えました。さらに各メンバーには、その目標と連動した個人目標を立ててもらいました。
このとき大切にしたのは、目標を“やらされ感”ではなく、“自分ごと”として捉えてもらうことです。目標を達成したら、メンバー自身が成長でき、評価が上がる状態を一緒に目指しています。
そのためにはまず、部署目標の背景・意義を繰り返し語ること。そして、それがメンバーの成長や志向とどう接続できるかを一緒に考えること。
全体に一方的に話すのではなく、チーム全体・個別1on1の両方で対話を重ねることで、少しずつ腹落ちを作っていきました。
〇キーマンとの徹底的なすり合わせ
6人のチーム全員に一斉に語りかけるのではなく、まずは部署内の2人のリーダーと密にディスカッションを重ねました。
私は彼らにこう伝えました。
「この部署目標を、チームで合意したものとして、私が全社向けに所信表明したい」
このメッセージに対して、2人のリーダーと私で何度も対話を重ね、解釈をすり合わせていきました。それぞれとの1on1、3人でのミーティング、あわせて複数回行い、最終的に「これは私たちのチームの目標だ」と腹落ちしてくれた段階で、他のメンバーにも展開しました。
共有の場ではリーダーたち自身が、
「この目標にはこういう意義があると思っている」
「この部分はまだ完全に腹落ちしていないけれど、一緒に作っていきたい」
と、自分の言葉でチームに語ってくれました。
このプロセスを通じて、部署目標は「誰かが決めたもの」ではなく、「自分たちの目標」に変わっていったと思います。
〇回数を重ねた分だけ、目標の解像度が上がる
この対話プロセスで特に印象的だったのは、説明・議論を繰り返すごとに、目標の解像度がどんどん上がっていったことです。
伝わっていない部分、誤解が生まれやすい部分、そもそも目標として適切でない点…。繰り返すことで初めて見える視点があります。
一人でどれだけ考え込んでも得られなかった視点が、対話の中でどんどん生まれていく。チームの視野を借りることで、目標そのもののクオリティも上がっていく実感がありました。
一緒に議論を積み重ねてくれたリーダーやメンバーには感謝しかありません。
〇個人目標の設定から「腹落ち具合」を測る
各メンバーには、部署目標を意識しつつ、個人の目標を立ててもらいました。
メンバーは20代前半~30代前半。社会人経験の違いから、目標設定力にはばらつきがあります。特に若手ほど、目標がふわっとしてしまう傾向があります。
そこで私は、目標そのものをフィードバックしながら、部署目標の腹落ち度合いも探ることにしました。
どこまで部署目標の背景を自分なりに解釈できているか?
成長や評価に繋がる行動に落とし込めているか?
これはまるで、自分がどれだけ“伝えられたか”をテストされているような気持ちでもあり、緊張感と楽しさが入り混じる瞬間でした。
〇まとめ:腹落ちのカギは「回数」だった
今回の取り組みを通じて、改めて実感したのは、腹落ちを作るには「回数」が絶対に必要ということです。
繰り返し語る
視点を変えて伝える
対話を重ねて合意形成する
これらを丁寧に行った先に、「目標が自分ごとになる瞬間」があります。
目標設定は正直、骨が折れる作業です。しかし、メンバーの価値観や考えに触れることができる貴重な機会でもあります。
この取り組みが、メンバーにとって「成長と評価のスタート地点」になるよう、これからもサポートを続けていこうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた。
