連作短歌 アオトアカ。
知ってる人は知ってるが、私は短歌をよく詠んでいる。
コトバ派の人のような絢爛豪華さはなく、生活の温度とか、ジメジメしたナメクジのような短歌が私の声なので、そういったものが多いのだが、昨日短歌を詠んでいてふと思いついた。
当たり前だが短歌は歌である。
ならば、それってそのまま曲にできるんじゃないか?と。
一応調べたところ前例はあるようだが、あまり一般的ではないらしい。
なので、まだまだ発展余地がありそうなジャンルなのだが、短歌という古典的な文芸の可能性を拡張する上では我ながら面白い取り組みかもしれないということで、ひとつチャレンジしてみた。
ちなみに短歌と言っても、現代短歌は必ず31音で構成しなければならないわけではないので、破調はご愛嬌ということで。あと句跨ぎしまくってます。
アオトアカ
ペンキ色の青が降る 濡らす窓辺に垂れる滴の恋時雨
鴇の声 羽衣の裏に隠された色を知りたい?教えない
いつなのか思い出せない夕焼けと伸びた雲間の天気予報
五月雨の音を拾って耳を当てる ドアのガラスの冷たさだけが
久しぶり そう言う声の後ろ側わたしのいないカルテット
あなたの背中のファスナーを下ろして突っ込み引っこ抜く
答えてよ。わたしの声に答えてよ。誰かのフリはもういらない
声もいいよ、顔も見たくない。全部ウソ。ほんとはずっと好きなのに
液体溶剤振りかけた どろどろとガラスも溶けてなくなった
溶けた窓辺に腰かけて ゆらゆらと足を揺らしたらサンダルが落ちた
天気予報は今日も晴れ 嘘つきまみれの占い師の呼び声
もうこれきりにしようかと思ってずっとしまってた言葉をなんで知りたいの?
あなたのシャツのボタンを外してそこにわたしを連れ込んで
落ちたサンダル音を立てた ぺちゃっと鳴ってそのまま消えた
答えてよ。わたしの声に答えてよ。誰かのフリはもうウンザリ
声が好きだよ。その顔を見せてよ。全部ウソ。ホントはずっと大っ嫌い
赤いペンキを持ってきて今すぐ頭にぶち撒いて じゃないとわたしもう戻れない
答えてよ。わたしの声に答えてよ。今だけは嘘をつかないで
声もいいよ。顔も見たくない。なのにあなたの中に入ってたい
このままずっと終わらない夜が終わるまで(終わらせて)
感想として、かなり可能性というか、手応えを感じた。
短歌は情景の切り取りが命なので、歌にする上では一首ごとの衝突は避けがたい。結果として、サビや反復の核はどうしても弱くなりやすく、多少の調整が必要だった。
とはいえ、大まかな部分ではほぼ短歌をそのまま曲に落とし込むことができることが分かったので、これは結構大きな収穫だった。
もし音楽をやられている方で短歌の詠み人がいれば、ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。
