ドパジジイの話。
HPが枯渇している。何もやる気がしない。
日中は辛うじて椅子に座って仕事らしきものをしているが、眠気が半端じゃない。頭は常に朦朧としている。
それで、終業した後はさすがにこれはまずいだろうと、パジャマからTシャツに上だけ替えて、近所のオリジン弁当に行く。弁当の値段を眺めては、別に大して食べたくもないハンバーグ弁当を選び、家で食べる。
一応買っておいた缶ビールを開けるが、全く減らない。そうこうしている内にすっかりと温くなってしまい、勿体ないと思いながら流しへ捨てる。
シャワーを浴びて、真っ暗な部屋で適当にYouTubeなんかを見ているといつの間にか気絶していて、すっかり朝になっている。
元々私はドーパミンを放出する機能が弱いのだが、ここ最近はそれに輪をかけてドーパミン不足が著しい。
そんなことで悩んでいたら、ネットで「ドパガキ」という言葉を見つけた。
簡単に調べると、ドーパミン中毒のガキのことである。こう言うと聞こえは良くないが、TikTokとかYouTube Shortなんかを一日中見て、ドーパミンを摂取しているらしい。
私は正直ちょっと羨ましくなった。気軽にドーパミンを摂取できるということは、私のドーパミン不足にも活路を見出せる可能性を感じた。
調べる限り、彼らはとにかく時間の長さに耐えられない。そして、集中力が持続しないらしい。私と症状が似ている。ますます親近感を覚える。そんな彼らが好き好んでいるものは、必然的に安楽的に刺激を得られるものということだ。
音楽を例に挙げると、まずイントロが無いもの。そして、速攻でサビに入る必要がある。この間、約10秒程度。これ以上だと「長い!!」となり、すぐに別のドーパミン源を求めて彼らは去ってしまうそうだ。
また、展開の畳み掛けも重要らしい。ドーパミンをドバドバ出すためには既視感と新規性が重要だ。脳が拒絶しない程度に聴き覚えがありつつも、新しい刺激として受け取れるくらいのフックが無いとだめということだ。
一通りの分析が終わった。私は以上の研究データをもとに、ドパジジイになることを決意した。最近曲を作っていなかったので、めちゃくちゃ時間がかかってしまった。
歌詞に関してはとにかく平易な言葉を用いることを心掛けた。難しい単語や理解を要する複雑な文脈などもってのほかだ。何を言ってるのか分からないが、何となく雰囲気で分かったつもりになるくらいの負荷がちょうどいい。
また、ドパジジイ楽曲を作るにあたっては上記の注意点に加え、カバー画像も工夫した。可愛い女の子がいるだけでドーパミンが放出される。これは世の理なので今更解説するまでもないだろう。
そして色調はこれでもかという程のピンクにした。目がチカチカするが、赤色には交感神経を刺激し、アドレナリンやドーパミンを分泌する働きがある。
だが、よくよく考えると、結局この曲を作っている時が一番ドーパミンが出ていたかもしれない。そういえば子どもの頃、プラモデルは完成品を眺めるよりも作っている時の方が楽しかった。
今も昔も、私は結局何も変わっていなかった。
それでは聴いてください。
Instant dream
〜♪
時が流れ 川に流れ
海へ流れ落ちていく
ぼんやりと浮かぶ景色は
ボクの心をただ
溶かしていく
あの雲のように
ただ溶かしていく
Ahh-Ahh-Ahhh
あの雲みたいに
夜がともり ベッドの上
沈む星を見続けてる
まぶたの奥に浮かぶ景色が
ボクの心をただ
溶かしていく
あの夢の果てに
Ahh-Ahh-Ahhh
ただ夢を見ていたい
風が吹く
雲も夢も全部全部吹き飛ばして
誰もいないこの星で
最後に残ったあの景色が
ボクの心をただ
溶かしていく
あの日々の果てに
Ahh-Ahh-Ahhh
夢を見ていたんだ
Spotify他、amazon musicなどでも聴けます。
