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現場の中心で、謝意を叫ぶ ―大きな建設現場で助けてもらった迷子のお話

私は普段、町家仕事ばかりしている。
一般住宅や、古民家、お寺さんなどだ。

たまーーーに、ゼネコンさんの関わる大きな現場にお邪魔することもある。

これは、その時の話だ。


建設現場は怒鳴り声が飛び交う。
そんなイメージがある人もいるかもしれない。

実際、そういう場面に遭遇することもある。

でも今回は、ちょっとほっこりする話をしたいと思う。


横浜の大きな商業施設を建設している現場で、
仕事をしたときのこと。

仕上げの工程だったので、1週間くらいの出張だった。

現場はとにかく広い。
めちゃくちゃ広い。

入り組んでいるし、安全に通れる動線も日々変わる。

いきなり現場に放り込まれても、
道なんかすぐには覚えられない。

だからいつもは、先輩にくっついて、
自分たちの作業エリアまでたどり着いていた。


その日は、緊急事態だった。

とにかく急いで向かわねば間に合わない。

そう。

私の膀胱は、限界を迎えていた。

一服の時間までは、まだ1時間もある。
しかも、その時間になるとトイレは激混みする。

女子トイレもあるにはある。

でも、一番近い地下の女子トイレは鍵がかかっていた。
番号は教えてもらっていない。

だから、そっちは使えない。

もうひとつは、たしか一番上の方の階。
とにかく、女子トイレはだいたい使いにくいところにある。

だから、一番分かりやすい、
みんなが使うトイレに向かった。

男性専用というわけではないはずだけど、
すれ違う時にちょっとびっくりされて気まずいのは、
また別のお話。笑

あと、ものすごいトイレ事情も機会があれば。。


なんとか間に合った。
問題は、その帰り道だった。

自分の作業エリアに戻ろうとして、迷子になった。

道は合っているはずなのに、

あ る は ず の 扉 が な い。

どうしよ。
ここどこだろ。

と、ウロウロしていると、どこからともなく声が降ってきた。

「ねぇちゃん!そっちじゃない!!こっち!こっち!!!」

こっちってどっち!?

と思ってキョロキョロしていると、足場の上の方から、
職人さんたちが身振り手振りで指差してくれていた。

示された方を見ても、扉がない。

…???

「そこ!非常階段あるから!!」

なんかもう、スイカ割り状態である。

言われた方に、とりあえず進む。

すると、目の前に扉らしきモノが現れた。

完成したとき、お客さんに分かりにくいように、
壁と一体になって見えるデザインの扉だった。

わっかりにく!!!

と、心の中でぼやいた。

何人か声をかけてくれたので、
もはや誰にお礼を言えばいいのか分からない。

だから私は、

「ありがとうございまーーす!!!」

と、現場の中心で謝意を叫んだ。


たぶん、女は目立つ。

通りかかった時に、どこから出てきたのか覚えてくれていたのだろう。

大きな現場は、広いし、複雑だし、
怒鳴り声が聞こえることもある。

でも、決して怖いだけの場所ではない。

ちゃんと見てくれている人もいる。

困っていたら、どこからともなく声をかけてくれる人もいる。

良い人はいっぱいいる。

そんなことを、迷子になりながら知った話でした。



建築業界には不思議な言葉がいっぱい!
中塗りって本当は下地なんだけど…仕上げなのよねぇ。。


もはや女を捨てた女の話。笑


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