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『さらば掲げろピースサイン』が胸を撃つ理由と、闘っていたあの日の私

ピースサイン 米津玄師,2017


これは、米津玄師さんの『ピースサイン』という曲のサビを締めくくる部分です。

この曲は『僕のヒーローアカデミア』の主題歌。
能力のない少年が一人前のヒーローになっていく物語で、大人気作品ですね。

このアニメの世界観を盛り上げる、最高にかっこいいオープニング曲なのです。

でも、この冒頭の歌詞には、意外なエピソードがあります。

米津さんは5年前の時点で、メモに「さらば掲げろピースサイン」と殴り書きをしていたそうなんです。
『ヒロアカ』の主題歌になる前に、すでに存在していたんですよ!
ご本人も驚かれたとのことで、それほど深く脳に刻まれていたワードだったんでしょうね。

もう、何度考えてもすごい。

「さらば」
「掲げろ」
「ピースサイン」
そこに続く、「転がってくストーリーを」って。

私の語彙の中では、絶対くっつかない組み合わせです。
一般凡人の私と比べちゃダメですけど、驚きしかありません。

まるで、苦しみから立ち上がったような情景が目に浮かび、ようやく泥沼から抜け出した気迫まで感じられる。

作詞家の方々に感嘆したことは何度もありますが、この歌詞には度肝抜かれました。

その上、
「さらば」
がつくんですよ……!

別れを告げたのは、自分との約束だったのかもしれません。
あるいは、弱かった自分との決別か。
そんな凛とした場面が思い浮かぶのです。

そして「転がってくストーリーを」という歌詞には、行き先の分からなさや展開の速さを感じさせます。
いい方向に行くのか、それとも悪い方向に行くのか。
自分の意思だけでは抗えない"運"が絡みついてる雰囲気もあります。
怖さを楽しみながらも、自分だけの物語をつむごうとしていて、ハッとさせられる一文です。

さらに惹かれるのは、2番目のサビになるとこの部分が、
「君と未来を盗み描く 捻りのないストーリーを」
になること。

明るくまばゆいイメージの中にある“盗み”という後ろ暗い言葉。
自分の手元には、絶対舞い込んでこない未来をつかもうとしているのか。
ぬくぬくとは生きられない境遇の少年少女が、精いっぱい手を伸ばしている姿が浮かぶ。
ただただ、懸命に。
し、しびれます……。

自分のためのピースサイン

こんなこと言っては身も蓋もないけど……
歌詞って書いたことないから分からないけれど……

天才だ。

みんな知ってると思うけど、米津さんは天才だ。

あらゆる感情がすさまじい速さで切り替わっていく。
だけど、その状況が脳内で映像として再生される。

誰かの人生の転機を目撃しているようなドラマ感もある。
必死にがんばっている人たちに真っ直ぐ刺さるものがありますよね。

私自身、「ピースサイン」には、何度も救われました。
ワーママ生活にまったく慣れず、歯を食いしばって車を運転していた通勤時間。

曲の疾走感に背中を押され、「今日もがんばらなきゃ」と気持ちを奮い立たせていました。

米津さんが生み出した言葉に包まれ、同じ時代に生きられて本当に幸せを感じます。

言葉が持つとんでもないパワーに圧倒された。
だからこそ、あなたも心の中でピースサインを掲げてみてほしい。
そんな風に思った話でした。

今回は、さちともこさんの企画に参加させてもらいました。ピースサインへの思いを書くことができてうれしかったです。ありがとうございました✨

ここまでお読みいただきありがとうございました!
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