自分の声が嫌い、は「錯覚」かもしれない ──録音にモヤモヤする理由
『声と仲直りするノートpage③』──Koenoa journal
「うわっ…これ、私の声?」
録音された自分の声を聞いて、ショックを受けたことはありませんか?
思ったよりも高くて、どこか頼りなくて、なんだか他人みたい。
ずっと一緒にいるはずの自分の声なのに、
なぜこんなにも違和感があるんだろう。
「自分の声が好きになれない」——そう感じる人は、実はとても多いんです。
intro:「これ私の声?」から始まった違和感

アナウンサーとして働き始めたころ、
テレビから流れる自分の声を聞いて、私は思わず目をそらしました。
「…こんな声だったっけ?」
イメージしていた“自分らしい声”とは、まるで違っていて。
そこから、発声や話し方を変えようと試行錯誤する日々が始まりました。
でも、何を変えても心の奥に残っていたのは、「しっくりこなさ」でした。
その違和感が和らいだのは、自分の「感じ方」に理由があると知ったときです。
evidence:違和感の正体は、“慣れていないもの”への拒否反応
「単純接触効果(mere exposure effect)」って知っていますか?
これは、人は繰り返し接したものに対して好意を持ちやすくなるという法則です(ザイアンス, 1968)。
つまり——
録音された自分の声を聞いたときに違和感を覚えるのは、
その声が聞き慣れていないだけなんです。
一方で、普段私たちが聞いている「自分の声」は、
空気を伝わる音に加えて、頭蓋骨を通して響く骨伝導の音も混ざっています。
この“ミックスされた声”にだけ私たちは慣れているため、
録音された「空気伝導のみ」の声には違和感が生まれるのです。
experience:その声は変じゃない、ただ知らなかっただけ。

「私の声、こんなに高かったっけ」「幼く聞こえる」「通らない気がする」——
そんなふうに感じてしまうのは、
あなたが“変な声”だからではありません。
むしろ、その違いに敏感に気づけるのは、あなたが繊細に感受している証拠。
そして、好きになるためには“慣れる”ことが一番の近道なのです。
insight:自分の声に、出逢いなおしてみよう。

「鏡の中の自分」と「写真に写った自分」が違って見えるように、
声にも“自分だけの見え方”があります。
まずは数秒、録音してみましょう。
そして、それを聞いてみる。
一度で好きになる必要なんて、ありません。
「これはこれで、私の声かも」
そんなふうに少しずつ慣れていけたら、それでいい。
録音された自分の声にポジティブな印象を抱くには、
短く・肯定的な言葉を録音し、繰り返し聞くことが有効です。
reflection:声と仲直りする、そのはじまりに

声は、あなたの外にある“もうひとりの自分”。
最初は戸惑うけれど、関係性は育てていけます。
繰り返し出会い、聞き、受けとめる。
その過程で、自分の声を受け入れる力=自己肯定感も少しずつ育っていきます。
「自分の声が好きだから受け入れるのではなく、
受け入れるから、好きになれる」
あなたの声は、ちゃんと愛される声です。
まずはあなた自身が、その一歩を認めてあげてください。
small work:聞き慣れる、を始める
ひとことだけ録音。再生して、自分の声を“観察”してみてください。
「どんな風に聞こえる?」と自分に問いかけたら、声へやさしくひとこと。
「思ったより落ち着いてる」
「なんか可愛いかも」
どんな言葉でも大丈夫です。
next episode:次回予告

その話し方、誰のため?
「もっとちゃんと話さなきゃ」
その焦りの奥にある、“無意識のブレーキ”とは?
次回は、よく見せたい自分と本当の声について考えていきます。
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「声」に苦手意識がある人の背中を、そっと押せるような場所にしたい。そんな気持ちでこのnoteを綴っています。
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