少なくないメディアがやらかしている真実の隠蔽とオーバー・キル 前編
ボクシングの亀田兄弟問題に見るマスコミの真実の隠蔽とオーバー・キル
私はしばしば後楽園ホールにボクシング観戦に行くことがありますが、私がマスコミの真実の隠蔽と批判報道のやりすぎであるオーバー・キルを感じたのは亀田兄弟問題でした。父親の亀田史郎さんの指導のもと、蕎麦打ちなどの個性的なトレーニングに励み、すでにプロデビューしていた亀田興毅がリングで実力を発揮して勝利を重ねている亀田兄弟には様々なマスコミが取材を行い記事にしていました。ただ、その時期においても、試合を盛り上げることが目的で亀田興毅がなした様々なパフォーマンスについて、相手選手へのリスペクトに欠けるなどという少なくない批判がボクシング関係者やボクシングファンの中にもありました。しかしながら、そのような面は報じられることなく、亀田興毅の初めての世界タイトルマッチであるファン・ランダエダ戦を迎えることとなりました。
この試合で亀田興毅は初めてと言えるかもしれないメディアの大きな批判に晒されることになりました。普段の階級から1階級下げた世界タイトルマッチで大苦戦をして僅差の判定勝ちとなった亀田興毅に対しては、普段のビッグマウスを苦々しく思っていた者などから大きな批判がなされるようになりました。試合会場で鈴木宗男衆議院議員(当時)や小池百合子環境大臣(当時)の姿が見える席から採点をしながら観戦していた私としては、ジャッジと同じく亀田興毅の僅差の勝利でしたし、ボクシングがほんの少しの要素で勝敗が大きく変わってしまうスポーツであることで、このようなこともあるだろうという感想でしたが、KOという目に見える大差の勝利ではなかったことによって大きな亀田兄弟バッシングが巻き起こりました。そして、亀田大毅が内藤大助の持つ世界タイトルに挑戦した試合でラフなボクシングをして判定負けした後にバッシングは頂点に達します。それは、亀田兄弟を持ち上げすぎてきたメディアの振り切れすぎた揺り戻しというものであったと思います。
横綱審議会の委員という要職を歴任していたはずの漫画家のやくみつるさんはテレビ番組で亀田兄弟の父親である亀田史郎さんを挑発し、雑誌は亀田兄弟バッシングに溢れました。その結果メディアによるオーバーキルが発生しました。
週刊朝日は、弟の上杉慶太がプロボクサーであるというだけの理由で上杉隆さんに亀田兄弟バッシングの記事を執筆させ、「ボクシングが賞金制になっていないのが諸悪の根源」などと、ボクシングと以外にもプロ野球、サッカーなど賞金制となっていないプロスポーツが多く存在するにもかかわらず、的外れ極まるバッシングに終始したのです。
そして、亀田兄弟へのオーバーキルの象徴となる記事を執筆したのが片岡亮さんでした。亀田大毅が四国で行った世界タイトルマッチにおいて、亀田陣営に監禁されたと民事訴訟を提起したリングアナウンサーと呼応して亀田兄弟の社会的評価を低下させる記事を書いて慰謝料の支払いを命ぜられたのです。そして、この片岡亮さんの民事訴訟においてはSLAPP訴訟であるとして黒薮哲哉さん、山田厚俊さんなどが片岡亮さんを擁護しましたが、そのSLAPP訴訟であるとの主張すら裁判官の心証を悪くする結果となったのです。
明らかになったことは、記事は捏造で敗訴したのは片岡氏だということでした。「裁判所軽視」「心証を悪くする」「お粗末」「マスコミは喜ぶだろうが」と刺激的な文言が並びますが、実際には、スラップ云々と余計な主張をして「心証を悪く」し、プロレスまがいの乱闘があった余計な記者会見でA氏も片岡氏も不法行為を認定される「お粗末」ぶり。「マスコミは喜ぶ」はずが飛びついたのは、いつものサイゾーと東スポだけ。
もし仮に、相手方に証拠ビデオがある不利な裁判を、言論でもってあたかも有利であるかのように偽装して募金を募ったのだとすれば重大な信義違反だと思うのですがいかがでしょう?
福岡「教師によるいじめ」でっち上げ事件の場合
同様にメディアによるオーバーキルの事例として考えられるのが、福岡の「教師によるいじめ」でっち上げ事件です。この「事件」は、小学校教師が外国にもルーツを持つ児童に対して差別やいじめをなしていたと報道されたものですが、その教師の言動すべてが事実ではないと裁判で明らかになっています。
この「事件」は、最初は朝日新聞西部本社が報じ、「特オチ」となった週刊文春の西岡研介さんが記事を書いたわけですが、その内容がひどいものです。権力者でもない小学校教師の実名、顔写真、家の写真を掲載し、「殺人教師」と誹謗中傷するものでした。その小学校教師がなしたとする言動すべてが事実ではないことを認識したうえで、西岡研介さんの記事を読むとその酷さがわかります。
朝日新聞西部本社版の記事と週刊文春の西岡研介さんの記事を比較すると、小学校教師がハーバライフのマルチ商法をなしていたとするデマ記事の部分以外には目新しいものはなく、週刊文春が完全に後追いであったことがわかります。西岡研介さん自身は、「鳴物入り」で移籍した週刊文春の専属記者時代について「スキャンダルを追え!『噂の眞相』トップ屋稼業」でこう述べています。西岡研介さんのこの著書は「俺はこれだけすごい人間なんだ」と自己主張する自慰行為に近いものですが、この中でこれほど弱気な記述がなされているということで、週刊文春専属記者時代の迷走が炙り出されるものとなっています。
「話を私の『週刊文春』記者時代に戻そう。前述の調活キャンペーンで『文春』デビューをなんとか果たした私は、『噂眞』にいた頃と同様に、いやそれ以上に腰を据えて、政財官界のスキャンダルを書きまくった。だが、それらの記事は特に『週刊文春』の右トップや左からトップを飾ることもあったが、残念ながら『噂眞』時代のような"特大級"のスクープを放つことはなかなかできなかった。」(西岡研介著「スキャンダルを追え!『噂の眞相』トップ屋稼業」)
西岡研介さんの立場に立ってみると、「噂の眞相」で名を上げて大きな期待とともに週刊文春に移籍したにもかかわらず、期待されるほどのスクープを放つことができていない状況の中、朝日新聞西部本社によって「特オチ」して、朝日新聞西部本社のように小学校教師に対する取材も成功しなかったわけです。その焦りは筆にあらわれ、ろくな取材がなされていないのにもかかわらず断定的に記事を書き、「特オチ」を巻き返そうと表現が過激になっていったのではないでしょうか。その結果、権力者ですらない市井の小学校教師に対し、まともな取材を行うこともできないまま「殺人教師」と決めつける記事を書くことになったのかもしれません。ただ、その記事には真実がないばかりでなく、誹謗中傷された者が自ら死を選んでも不思議ではないほどのものでした。それに対するまともな謝罪すら行っていない週刊文春と西岡研介さんを決して許してはいけないと思います。
この西岡研介さんは、烏賀陽弘道さんとの共著である「俺たち訴えられました!SLAPP裁判との闘い」において、小学校教師の言動が事実ではないと明らかになった段階においても次のような発言をなしています。
この本の著者の福田ますみさんには実際に会うて、取材を受けたんですよ。
(略)
で、取材を受けた時に福田さんが「教師に謝罪する気はないのか?」って聞くから僕は彼女に「ななに寝言言うてんねん、オバハン?自分の教え子を虐待するよあなクズ教師に詫びるつもりなど毛頭あるかい。[文春の記事が間違っているって言うんやったら、いつでも訴えてこんかい』って、その人間のクズに言うとけ』って言うたんよ。というのも、その後の裁判で、このクズ教師の虐待やいじめ行為が認められているからね。
ツイフェミの皆さんは西岡研介さんのミソジニーな言動を批判して「筆を折れ」などと批判せずにずいぶんとおとなしいようですが、この発言自体が自らが書きなぐったデマ記事を必死に正当化しようとする西岡研介さんの断末魔のような叫びであると考えれば腑に落ちます。
