生活が壊れたのは、ある夜の告白だった
― 誰にも言えないことを、誰かに聞いてほしくて ―
◾️小さな違和感
最近、彼の表情は曇りがちで、頻繁に「仕事を辞めたい」と口にするようになっていた。
転職の相談かと思いきや、そこには妙な沈黙や目の泳ぎがあり、何かがおかしいと感じていた。
◾️彼からの告白
ある夜、仕事から帰ってきた彼の声はとても重く沈んでいて、私を別室に呼び出すと、泣きながら言った。
「実は、会社のお金に手をつけてしまった」と。
突然すぎて頭が真っ白になった。
私はしばらく前から、彼の給与が未払い状態だと聞かされていた。
生活費は私のパート代と児童手当でまかない、不足分は彼の得意な「競馬」と「せどり」でなんとかしていると信じていた。
でも全部、嘘だった。
生活費に充てていたのは、会社のお金だった。
信じがたい話を前に、怒りや悲しみが湧くよりも先に、何も考えられなくなった。
彼は泣きながら、すべてを話してくれた。
「もう、隠しきれない」と。
驚くべきことに、会社にはまだ発覚していなかった。
ただ、金額が大きくなりすぎて、バレるのも時間の問題だったという。
◾️警察署へ
一緒にどうしたら良いか考え、私は「自首しよう」と伝えた。
彼は「ついてきてくれるのか」と涙をこぼした。
正直、思考は追いついていなかったけれど、「放ってはおけない」と思ったのは確かだった。
子どもを寝かしつけたあと、私たちは深夜の警察署へ出向き、自分たちの口で全てを話した。
その場で取り調べが始まり、長い時間、別々の部屋で事情を聞かれた。
すべてが終わった頃には、空が白み始めていた。
夫はその日、会社を休み、夜になって重役の方に時間をいただき、私たち夫婦で直接謝罪に伺った。
懲戒解雇になるのは当然だった。
でも私は、それよりも彼が私を頼ったという事実に、複雑な気持ちを抱えていた。
それが「信頼」だったのか、「依存」だったのか。いまだに、うまく答えは出ない。
◾️待ってはくれない現実
産後間もない私は当時、育児休業中で、すぐに会社に連絡を入れて復帰の意志を伝えた。
「夫が体調を崩して休職中なので…」と嘘をついた。
本当は「横領による懲戒解雇」で、「無職」なのに。
誰にも相談できなかった。
万が一、話が広まってしまえば、何の罪もない子どもたちが傷つくかもしれない。
それだけは、絶対に避けたかった。
私は誰にも話せない孤独と、夫への不信、先の見えない不安に、私の感情は行き場をなくし、八方塞がりのまま、ただ呆然と目の前の風景を見ていた。
このnoteは、そんな孤独の中で始めたブログです。
これから、自分の心の整理しながら、生活の再構築の記録を綴っていこうと思います。
どこかで同じように「誰にも言えないこと」を抱えている誰かに、そっと届けばうれしいです。
