#2 Kobito Vineyardの人々

Kobito Vineyard (こびとヴィンヤード)は
りんごとぶどうを栽培する果樹園です。自畑産りんご100%のシードルとジュースをネットショップで販売しています。ぶどうのワインとジュースは3年後から販売開始する予定です。

今回はKobito Vineyardの人々の自己紹介をさせていただきます。

のんびり者だけどカラス対策の助っ人、かかしさんと一緒の一枚

【今井 泰子】
代表かつイラスト担当です。
岩手県三陸地域、大船渡市に移住して、三陸の自然に魅せられて農業を始めることにしました。

冬場の仕事の相棒、剪定ハサミと

三陸の自然への片想いから

移住してすぐに、緑の草原に一面に生い茂る白い水仙の花に魅せられました。一種類の野の花が群生する光景は息を飲む美しさがあります。

温度や湿度の関係でしょうか。
生まれ育った関東では一種類の野の花が群生する景色はほとんど見られませんでした。
温暖多湿な関東は、植物の世界もきっと競争社会なのでしょう。人が手を入れた庭でもない限り、幾種類もの雑草で覆い尽くされ、一種類の花が独り勝ちする風景は珍しいように思います。

一方で三陸は、「あ、~の花が咲いている」と車窓からしっかり見て取れるくらい群生して咲く姿をよく見かけます。
野山の緑のなかに埋もれることなく、「私はここにいるよ!」とソリストのように呼びかけてきます。

黄や白の水仙、青みがかった紫色のムスカリなどは、人が庭に植えたものがこぼれ種的に広まったのでしょうか。春先に緑の野に気持ち良さそうに咲いています。
リアス海岸の海岸線を縫って走る道路沿いに、杉の樹冠を飾る藤の花、斜面を白く染めるマタタビの白い葉、花嫁の白いブーケのような野ばら、
ピンクの泡のように広がる萩の茂みと、群生する季節の花々が見られます。

少し風通しの良い野原にはノラニンジンやフランス菊の白い花が広がります。

関東でも見られる花だけれど、咲き方が違うーそれはきっと三陸の地域の温度や湿度、風通しによるものなのだろう。三陸の自然のなかの何がそうさせているのか、暮らしのなかでの実感を積み上げているだけで、論理的な答えは今はありません。

でもこんな風に考えながら自然を眺めることが楽しくて、そのうちに「同じ花でも花の咲き方が違うなら、自然環境自体も違うだろう。花でも咲き方が違うなら、ワイン用ぶどうでも育ち方が違う、ということもあるのではないか」と興味を持つようになりました。
三陸の自然に感動して、見ているだけだと片想いしているだけで終わってしまいます。「素敵!」と思う気持ちを何かの形にしたら、片想いの気持ちも昇華できるかもしれませんし、何より全国の人々に三陸の自然の愛らしさを一緒に味わってもらえるかもしれない。

そのような思いで醸造用果樹の農業の道を考えるようになり、将来は夫と家族経営をしたいと準備が始まりました。


新規就農の研修

新規就農の研修は岩手県立農業大学校の新規就農基礎コースの果樹専攻コースに1年間、毎月3日間、通いました。その翌年はいわてグリーン農業アカデミーに1年間、毎月1回程度の頻度で農業の環境負荷低減方法の様々な形を学びました。

新規就農コースでは、先進事例の農家さんを訪ねる回が楽しくて、りんごの剪定のやり方を「一郎、次郎、三郎という枝があって・・・」とたとえを交えて説明してくれた農家さんの柔軟な人柄には感激しました。農業の専門用語よりも、身近な言葉で伝えた方が初めての人や子どもたちにも伝わり易いーこういう方は農業の裾野を広げることが上手にできるだろうな、自分もそういう農家さんになりたいものだ!という思いを強くしました。

グリーン農業アカデミーでは有機農業、スマート農業など持続可能な農業の諸テーマを概観することができましたが、自分の取組みとしてはまだまだこれからなところがあります。緑肥の活用、草生栽培など、できるところから取り組んでいきたいと思っています。

研修しながら、農業を開業するまでには実にたくさんの方々のご助力がありました。

りんごの世話を教えてくれた大船渡のお父さん、お母さん。
醸造や経営について、いつもアドバイスを下さった委託醸造先のワイナリーのオーナーさん。ぶどうの苗用に穂木を快く分けてくださった地域のワイナリー・オーナーさん。農地探しを手伝ってくださった陸前高田市農林課さんや大船渡で地域活動をされている皆さま。営農計画のアドバイスを下さった大船渡の農業普及センターや農林振興センターさん、資金計画の伴走をしてくださったJAの担当さん。そして果樹栽培に理解を示し、農地を貸して下さった陸前高田と大船渡の地主の皆さま。

たくさんの方々の助けを頂きながらKobito Vineyardはスタートしました。

こびとのイラストを描く

農業を始めるよりはるか昔。学生時代は芸術大学で美術史を学んでいました。名画を映し出したスクリーン以外は全くの暗闇のなか、教授の説明がどんどん進むので、学生たちは名画のポイントをささっと言葉とスケッチでメモします。下手でもいいのでスケッチしないと!という癖が身に付き、その後も面白いものを見つけると何となくイタズラ描きしてみたい気持ちがありました。

Kobito Vineyardのこびと達は、こびとの身の丈から見たら三陸の自然はどのように見えるかしら?という視点の体現者としてのこびとであり、
また「こびとの靴屋」の童話に登場する手仕事が大好きなこびと達を思わせる存在でもあります。何となく自分たち夫婦を重ねて見ることもありますが、自分たちの分身というよりも三陸の自然の化身でもあり、働き者の三陸の人々に近しい存在なのではないか、と思う時があります。
混沌とした存在ではありますが、こびと達の存在とともにKobito Vineyardの手仕事と商品に親しんでもらえましたら嬉しい限りです。

Kobito Vineyardのこびとさん達


【今井 雄一】
醸造担当ですが、畑仕事もがっつりやってます!代表の妻よりも経験だけは豊富(笑)
私が生まれたのは埼玉県鴻巣市で高校までそこで育ちました。大学時代は機械工学を学びつつ千葉市で一人暮らししてました。大卒後は自動車部品メーカーに就職し、カーエアコンの設計や製品開発を主に担当していました。高校生のころからオートバイや自動車にとても興味を持っていましたので自動車業界での仕事はとてもやりがいのあるものでした。

スリーピークスさんのぶどう畑にて

人生の転機

50歳を過ぎたあたりから、第二の人生を真剣に考え始め、二人目の子供が大学に入学し、卒業までのお金も準備できたことから、退職して次の道へ進むことを決意しました。そして、やりたかったワイン造りの仕事を探しましたが、未経験の50歳過ぎの人間を使ってくれるワイナリーなどなく、途方にくれていたところで地域おこし協力隊という制度があることを知り、すぐにリサーチしたところ、鹿児島の果樹農園で果樹栽培とワイナリー設立準備を行う協力隊員を募集している町があることがわかり、そこに応募して運よく採用してもらえることになり、退職した翌年(2019年)の2月から錦江町という大隅半島にある小さな町での一人暮らしが始まりました。そこで3年間、農園主の指導を受けつつ、ぶどう及びマンゴー栽培のほぼ全ての作業を行いながら、ワインに関する学びも進めていきました。

鹿児島の錦江町にて


ワインを知る


鹿児島暮らしの二年目(2020年)の春から、長野県東御市で通年で開催される「千曲川ワインアカデミー」を受講しました。そこで、ワイン造り、ぶどう栽培、ワインテイスィングなど、実習も含めてワインに関わる多くのことを学びました。また、2020年と2021年には、長野県(2つ)と宮崎県(2つ)の4つのワイナリーで研修者として受け入れていただき、畑とワイナリーでの作業をトータル2ヶ月程度の期間学ばせていただきました。ワインに関する知識については「千曲川ワインアカデミー」で多くを吸収し、ワイン醸造の実務については、研修先の各ワイナリーさんで多くを吸収することができました。この二年間が、今の私の土台になっていることは間違いありません。

長野のワイナリーで樽洗い


もう一つの転機


鹿児島暮らし3年目(2021年)の春にもう一つの大きな転機がありました。現在の妻と出会えて再婚しまして、この年の4月から妻と息子(当時小2)との3人家族での新たな暮らしが始まりました。(実は鹿児島暮らし最初の冬にバツイチになってました…この話は長くなるので、ここでは割愛。)

鹿児島から大船渡へ


鹿児島暮らし3年目(2021年)に入り、地域おこし協力隊の任期がこの年度で終わる(=無職になる)こともあり、来春からのライフスタイルをどうするか考え始めていました。そして当時はコロナ禍の混沌もあり、鹿児島では醸造と農業で生計を維持しつつ定住する道が見えない状況になっていました。
そんな状況のまま秋になったころ、妻と相談を重ねた結果、鹿児島を離れることを決めたのです。
そして、岩手県大船渡市で、市内のワイナリーで働きながらワインぶどう栽培で地域を活性化する地域おこし協力隊員を募集していることを知り、そこに応募してタイミングが良かったのか採用していただけることになり、2022年の春に大船渡へ家族3人で移住しました。

新たな学び


大船渡ではスリーピークスさんの畑でのぶどうとりんごの栽培作業、ワイナリー内での全ての作業、ワインのラベル貼り、出荷、ショップやイベント会場での接客などの作業も経験させていただきました。お客様の生の声をたくさん聞けたことも、今の私のシードルとワイン造りに大きく生きています。たくさんの機会を与えてくださった株式会社スリーピークス様には本当に感謝しています。
また、大船渡暮らしの3年目(2023年)の3月には、一年通った岩手大学農学部主催の「岩手アグリフロンティアスクール」を修了し「アグリ管理士」に認定されました。さらに、4月には「WSET Level3」に合格することもできまして、ワインについて少しは語れるようになれたようです。

スリーピークスワイナリーさんでの作業


Kobito Vineyard誕生へ


大船渡暮らし2年目(2023年)から、大船渡市内のラベンダー園の一画を借りてワインぶどう(アルバリーニョ)の試験栽培を開始し、少しずつ植栽面積を増やしています。
また大船渡暮らし4年目(2025年)の1月から陸前高田市の古いりんご畑を引き継いで借りることになり、その秋にはりんごの初収穫を迎えることもできました。
そして、大船渡暮らし5年目の2026年4月に、二年間の農業研修を終えた妻が代表となり、それを私が支えるかたちで「Kobito Vineyard」が誕生しました!
さらに、2026年4月から陸前高田市内の3か所にぶどう畑用地を確保してぶどう栽培を進めています。2030年春までには自畑産ぶどうのワインを初リリースしたいと考えています。個人的なワインの好みとしては、複雑味のあるワインが好きなので、野生酵母発酵のフィールドブレンドワインを多く仕込んでいきたいと思っています。

【余談】
畑やワイナリーでは私の分身のオトココビトさんが私よりも大活躍してます。オトココビトさんは酵母とお話ができるらしく、酵母が気持ちよく働けるようにお世話しているそうです。
今井雄一の趣味はロードバイクなのですが、ここ数年はほぼ休みなしの毎日で全然走れてません…また気軽にロードバイクで走れるようになりたいです〜
ちなみに弓道二段です。イノシシ倒せるかも笑
Kobito Vineyardのオトココビトさんと今井雄一を今後もどうぞよろしくお願いいたします。

ネットショップ、Kobito Vineyardはこちらよりご覧いただけます↓

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