「ハンチバック」を読んで
市川沙央さんが芥川賞を受賞した本作。
受賞のインタビュー映像を見て、重い障がいをお持ちの方であることは知っていました。
少し前、寝る前にテレビを見ていたら市川さんが対談をしていました。
(少し記憶があいまいなところもあります)
インタビュアーが「市川さんの生きる意味とは」と尋ね、市川さんは「この質問に対してではないが、この手の質問については辟易している」と回答していました。
「私たちは、なにをするにも理由がいる。ほんとはぶらっと出かけたいだけなのに、行きたい場所を告げ、行きたい理由まで伝えないと外出すらできない」。
「出かけたり、生きるのに、理由がなければいけないのでしょうか」。
このやり取りを聞いたとき、無理解な自分をたしなめられたような気がして、市川さんのお名前が強く記憶に残りました。
「ハンチバック」という本について。
主人公はグループホームに暮らす女性。
障がいのため動くことすら辛く、座っているだけで消耗していきますが、動かなければ筋力が低下して、動けなくなってしまう。
ネットの情報をつなぎ合わせて記事を書いたり、本を読んで過ごす。
そんな中、身近な人にSNSが特定されたことで人の悪意にさらされつつ、自らの衝動も相まって物語が展開していく。
感想
自分が健常者と障がい者について、いかに意図せずとも区別して考えているかを突き付けられた気がしました。
「あなたは私たちを、自分とは違う存在だと思っているでしょう」、そう問われたような思いです。
物語の中でかなりセクシャルな表現も出てきますが、そこに違和感をもった自分がいるということも、それを証明しているように感じます。
ユーモアがありながら、自然な表情で、鋭いものを突き付けられる。
そんな読書体験でした。
