沈黙を埋める営業は、相手の本音を消している|商談で「3秒黙る」だけで変わる理由
質問をした瞬間、相手が少し黙る。
すると、こちらが不安になってしまう。
「あ、難しい質問でしたかね」
「たとえば、こういうことでして…」
「ちなみに他社では…」
こんなふうに、相手が考えている途中なのに、営業側が答えを足してしまうことがあります。
僕も営業を始めた頃は、沈黙がかなり苦手でした。
会話が止まると、自分が何か失敗したような感覚になる。
でも、商談を重ねるほど逆だと分かってきました。
相手が黙った瞬間こそ、頭の中で「本当の答え」を探している時間だったりします。
◆ 今日の結論
営業は、質問する力だけでは足りません。
相手が考える時間を奪わない力も必要です。
とくにヒアリングでは、質問したあとにすぐ補足しない。
まず3秒待つ。
この数秒だけで、出てくる答えの深さが変わることがあります。
営業とは、たくさん喋る仕事ではありません。
相手が自分で考え、自分の言葉で整理できる状態をつくる仕事です。
◆ なぜ営業は沈黙を埋めたくなるのか
理由は単純です。
沈黙すると、自分が評価されているように感じるから。
質問が悪かったのか。
相手が困っているのか。
空気が悪くなったのか。
営業側は数秒の沈黙を長く感じます。
でも、相手側からすると、ただ考えているだけかもしれません。
ここで営業が話し始めると、何が起きるか。
たとえば、
「今回、導入するとしたら一番気になるところはどこですか?」
と聞いたあと、相手が黙ったとします。
そこで営業が、
「やっぱり価格ですかね?」
と足してしまう。
すると、相手は本当は「社内運用」が気になっていたとしても、
「そうですね、価格もありますね」
と答えやすくなります。
営業が選択肢を先に出した瞬間、相手の答えを誘導してしまうんです。
◆ 1. 「3秒ルール」を入れる
僕なら、質問したあとに頭の中でゆっくり3つ数えます。
1。
2。
3。
この間、余計な説明を入れません。
たった3秒ですが、意外と長く感じます。
ただ、この時間があると相手は、
「うーん、実は…」
と話し始めることがあります。
この「実は」から先に、本音が入っていることが多いです。
価格の話だと思っていたら、実は上司の反対。
機能の話だと思っていたら、実は担当者の運用負担。
タイミングの話だと思っていたら、実は失敗した時の責任。
最初の答えではなく、その一段奥を聞けるかどうかで、提案の精度はかなり変わります。
◆ 2. 沈黙のあとに聞くべき一言
3秒待っても答えが出ない。
その場合も、すぐ説明に戻らなくて大丈夫です。
僕なら、こう聞きます。
「今、頭の中に浮かんだことだけでも大丈夫なんですが、何かありますか?」
もしくは、
「少し答えづらかったですか?」
これなら、相手を追い込みません。
大事なのは、答えを営業側で作らないこと。
相手が考えやすいように、質問の形だけ整えます。
営業が答えを代わりに言ってしまうと、その瞬間は会話が進みます。
でも、本当の判断材料が取れないまま提案に進むことになります。
◆ 3. 「すぐ答える営業」も危ない
沈黙を埋める癖は、質問した時だけではありません。
相手から質問された時も同じです。
たとえば、
「導入すると、実際どれくらい効果が出ますか?」
と聞かれた瞬間、すぐ実績を説明する。
これも悪くはありません。
ただ、僕なら一度こう返します。
「ちなみに、どの効果が一番出ると導入価値を感じますか?」
なぜなら、相手が知りたい「効果」が、売上なのか、工数削減なのか、ミス削減なのかで答えは変わるからです。
質問されたら即答するより、質問の背景を一度確認する。
これも、相手が決めやすい状態をつくる営業の一つです。

◆ NGトーク → OKトーク
NG
営業:
「今回の提案で一番気になる点はどこですか?」
相手:
「……」
営業:
「やっぱり価格ですよね。価格についてはですね…」
→ 相手が考える前に、営業が答えを決めている。
OK
営業:
「今回の提案で一番気になる点はどこですか?」
相手:
「……」
営業:
(3秒待つ)
相手:
「実は、現場が使ってくれるかが一番心配で…」
営業:
「なるほど。使ってもらえないとしたら、どんな理由がありそうですか?」
この流れになると、価格説明ではなく、本当に必要な「運用」の話ができます。
◆ 明日から使える3つのルール
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
