思い出のウール着物を「もんぺ」にリメイク。50代夫を襲った試練とは?【コアキナイ観察日記 #6】
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前回初めて『洋服』を作ることに成功した夫。
調子に乗って次はアロハや!ウェ〜イ!となるのかと思ったら、
そこは冷静に、「まだシャツは早い、もう一本パンツを作りたい」と言う。
こういう浮かれないところも夫らしい。
作りたいのは「もんぺパンツ」
作りたいのは「もんぺパンツ」だと言う。
なるほど、アレね。妻の勘が働く。
夫が言うもんぺパンツというのは、私が気に入って履いている「うなぎの寝床」の現代風もんぺパンツのことだ。
非常に履きやすく、動きやすくて気に入っている。
「うなぎの寝床」とは、伝統文化を守る福岡の会社で、久留米絣を使ってちょっとスリムでお洒落なもんぺパンツを作っているブランドである。
このうなぎの寝床がもんぺパンツの型紙も販売してくれているのだ。
まだ夫がミシンのミの字も興味なかった頃に、型紙も売ってることを話したことがあり、1回作ってみたいなぁと言っていたのを覚えていたようだ。
これはどうやら私用に作ってやろうという魂胆らしい。
そういうことならばと、とりあえずポチる(型紙はこちら)。
届いたもんぺパンツの型紙を見てみると、なんとまぁシンプルで非常に作りやすそう!これは初心者には良さそうだなぁという印象。
コカドパンツで散々苦労した夫にしてみれば、2本目にこのもんぺパンツはちょちょいのちょいであろう。
なーんて事はなく(残念!)。
それはそれなりに苦労して2本目のパンツを仕上げることになる。
義母の着物vsよねこおばさんの着物
さて、コカドパンツは布団カバーで作ってみた。
今度は何の素材を使おうか?
やっぱりちょっと着物を触ってみたい。
(いや触らせてみたい)
義理の母が遺してくれた着物が何着かある。
『さぁやれ、これで作れ』という逸る心の声が漏れぬよう、「お母さんの着物使ってみる?」と義母の遺した着物を差し出してみる。
「いやまだ自信ないからいいわ」と当たり前のように却下。
「チッ。使えばいいのに」あ、イカン、ちょっと漏れてしまったぞ、心の声が。
「あー、そう。ん〜、そうなんか。じゃぁ…」と、取り繕いながら私の手持ちの、もう着そうにない着物を差し出してみる。
黒地に赤い井桁絣で素材はウール。
とっても可愛いし着やすいので、着付けの練習の時によく使っていたものだ。

夫もこの着物の存在は知っている。練習でよく着ていたから。
「あー、それ使ってええの?」と義母の着物の時とは違って、ホイホイと受け取る。ホイホイと!
でもこの着物、ただの「着やすい練習用」ではない。実はちょっとした思い出話がある一着なのだ。
この着物は、私の母の母(私の祖母)の親友(?)という「よねこおばさん」から母が譲ってもらったものだ。
母は九州の出身で、中卒で集団就職をするために親元を離れて関西で就職したのだが、たまたま近くに住んでいた同郷でもある「よねこおばさん」がよく面倒を見てくれていたんだそう。
だから、おばさんの晩年には恩返しだと言って、よく会いに行っていたのを覚えている。
そんな母をおばさんはとても可愛がってくれていて、着物好きな母にこの着物を譲ってくれたらしい。
そして、それを私が受け継いだのだった。
しかし残念だがこの手の着物はもう着る事は無い。
なので、潔く練習台にしてもいいよと進呈したのだった。
(おばさん、失敗したらごめんなさい!)
こうして、夫はあっさりと思い出のよねこおばさんの着物を選んだのだった。
着物をほどく
気を取り直して。それじゃあそれでやってみるということで、まずはほどくところからスタート。
他人の思い出の着物には無感情な夫だが、初めて「着物をほどく」という作業でたくさんの気づきを得る。
まず1つ、
この着物は単(ひとえ)であるということ。
夫が唯一持っている着物は、母が作ってくれた大島紬の袷(あわせ)なので裏地がついている。それと比べると随分様子が違うことを知る。
2つ、
なんと手縫いで作られている。きっとよねこおばさんが自分で縫ったのだろう。とても丁寧な仕事がなされている。
3つ、
着物は本当に無駄がないということ。よねこおばさん、スリムだったのか縫いしろがたっぷり取られている。後から体型が変わっても、ほどいて仕立て直しができるようになっているのだ。合理的である。
4つ、
THE長方形!パーツが全部長方形で、ほぼ直線縫いで完結する。それもまた合理的だなと感心する。
で、ほどきながら決めたことがある。
よねこおばさんの手仕事が本当に見事で、脇線の縫い合わせがとても美しく勿体無いので、ここは活かすことにした。
これが後に悩みの種となるのだが…。
そうして全て解き終え、アイロンをかける。
ウールなので、ちょっとアイロンが効きにくかったりする。
そういうことも学びである。
初めて着物地を裁つ✂️
アイロンができたら、次はいよいよ裁断。
一番緊張する瞬間だ。
うなぎの寝床の型紙は、男女兼用でSMLとある。Mサイズをチョイスして、生地を並べて型紙を置いてみる。
すると、ほんの少し足りない。
縫い代をたっぷり取った美しい脇線を活かした分、ほんの少し。悩む…。
私の足が細くてSサイズで履くことができたら、きっと足りたであろう。
(くぅ…痩せねば)。
ほんの少しが悔やまれるが、美しい脇線をほどきたくない。
悩んだ末、生地を継ぎ足してみることに。
これは、もんぺパンツの作り方で説明されていて、足りなければ継ぎ足す。これが着物リメイクの基本らしい。
結果、おまたのあたりが少しツギハギになる感じのイメージになった。
型紙を置いて線を引く。線を引き終わったら、裁断。
え、順調やん(意外)。
と、思いきや…
ん?何か違和感があるぞと思った私。
夫も気がついたみたいで、ハッとして手を止める。
そして「はぁー…やってもーた」と天を仰ぎ大きなため息をつく。
そうやね、やってもたね(笑)
なんと、見事に縫いしろを取るのを忘れて、実線で裁断してしまったのだった。
こういう時、普通、人は慌てふためくのだろうか?
しかし我々は夫婦してあまり動じることがない。
(だからこんな大変なミスをやらかしても、面白いリアクションが無いのが残念。)
コカドパンツの型紙には縫いしろの線が予め引いてあった。
なので、裁断をミスることはなかったのだ。
型紙に縫いしろがない事は、最初に注意したはずなんだけども。
いや、やるやろなーと思ってたことを、尽くやってくれる(笑)。
笑ってる場合ではない。さてどうするか。
よし、継ぎ足しを増やそう。
(安易!)
ちょっと不細工な仕上がりにはなると思うけど、仕方がない。
そうして、あーでもないこうでもないと言いながら、ツギハギだらけの生地ができ、ようやくきちんと型紙通りに裁断することができたのだった。

縫い合わせ〜完成
そしてもんぺパンツには脇ポッケがない。
不思議なことに右前に四角いポッケが1つ付いている。
初めてもんぺパンツを買った時は、この前ポッケに違和感があって「え?後ろじゃねぇの?」って思ったものだ。
いずれにしろその四角いポッケが前に付くだけなので、やっぱりたいして難しくはない。
型紙通りに左右前パンツ、左右後ろパンツが揃えば、特に気を遣うこともなく縫い合わせていけばいい。
ここで相棒の足踏みミシンの出番だ。
パンツは一度に縫う距離が長い。せっせと踏み板を踏み続け、やっと1箇所縫い終えたと思ったら、何かしら間違っていてまたほどく。
これを何度か繰り返し、縫い作業完遂。
ようやく仕上げの作業。
腰にはゴムと紐を通す仕様になっている。
この紐も共布で作り、紐通しを使って腰回りに通していく。
ツギハギだらけではあるが、幸いにも黒なので目立たない。
履いてみても非常に履き心地が良い。
素晴らしい!上出来である。

でもちょっと外に履いていくのは難しい柄ではある。
なので、ゆとりもあるし下に分厚いスパッツでも履いて冬の部屋着にしようと決めた。
こうして人生初めてのお裁縫を開始して、約2ヶ月。
よねこおばさんの着物のおかげで、2本目のパンツを無事作り終えることができたのだった。
今度こそ、次に作るのはアロハシャツである。
襟、苦戦するやろなとフラグを立てておく(笑)
…が、その前に。
アロハに挑む夫が、そもそもどんな男なのか。ここらで一度、紹介させてほしい。
次回は、ちょっと寄り道。
転職5回の凄腕サラリーマンのお話。
つづく…
※ミシンの実物や、夫の作業風景はInstagram(@koakinai_50s)で随時公開していきます。
