私はいつから、“変わり続ける女”を演じるのが仕事になってたんだろう
世の中には、
「人生変わります」って顔したサービスが山ほどある。
高額講座。
自己啓発コミュニティ。
人生アップデート系の集まり。
名前は違うけど、
だいたい言ってることは同じ。
・本当の自分
・ブロック解除
・理想の未来
・次元上昇(急にスピる)
で、私はどうだったかというと──
普通にハマった。
新しい言葉を覚えるたびに
ちょっと賢くなった気がしたし、
新しい場所に入るたびに
昨日の自分より上に行った気がした。
気づき。
学び。
変化。
最高に気持ちいい三種の神器。
でもね。
冷静に考えると、
生活は別に変わってない。
収入も変わってない。
現実の問題もそのまま。
なのに、
“変わってる途中の私”っていう
謎の自己評価だけは爆上がりしてた。
それってつまり──
人生を変えてたんじゃなくて、
成長してる“気分”を買ってただけなんじゃないか。
…って気づいた瞬間、
全部がちょっとコントに見えてきた。
ここから先は、
その世界にどっぷりいた人間が
中にいたから分かった話。
成長してる“気分”は、普通にクセになる
まず言っとく。
あの世界、
入ると普通にテンション上がる。
みんな前向き。
みんな優しい。
みんな「あなたは素晴らしい」って言ってくれる。
現実世界では
誰も拍手してくれないことに
急に拍手がつく。
そりゃ気持ちいい。
しかも、
難しい言葉を覚えれば覚えるほど
自分が進化した気になる。
現実が変わる前に、
“進化した感覚”だけ手に入る。
コスパ最強の錯覚。
一番ハマるのは「変わってる途中の自分」
面白いことに、
本当に変わった人より
・これから変わる人
・変化の途中の人
・覚醒し始めた人
このゾーンが
一番テンション高い。
なぜなら
希望が一番濃いから。
現実の結果が出る前が
一番キラキラしてる。
つまり、
結果じゃなくて
期待値に酔ってる状態。
違和感は、だいたい小声で来る
私が最初に感じた違和感は
めちゃくちゃ地味だった。
「これ…何回も同じ話聞いてない?」
「なんで成功例、いつも同じ人?」
「で、具体的に何が変わった?」
でも周りは盛り上がってるから
口に出すと空気読めない人になる。
だからみんな
“ポジティブなふり”がうまくなる。
結果、
違和感は心の中で飼育される。
で、気づいたら財布だけ軽くなる
これは悪口じゃない。
ただの事実。
変化の途中って
次が欲しくなる。
次の講座。
次のステージ。
次の覚醒。
RPGみたいに
課金すれば進める気がしてくる。
でも現実はゲームじゃないから、
レベル表示はどこにも出ない。
出るのはカードの明細だけ。
私が一番笑った瞬間
ある日ふと、
「これ、人生変えてるんじゃなくて
“人生変えてる気分”を
定期購入してるだけでは?」
って思った。
その瞬間、
今まで神々しく見えてた言葉が
急に通販番組のコピーみたいに見えた。
じゃあ全部ダメなのか?
いや、違う。
役に立つものもある。
救われる人もいる。
でも。
“変わった気分”と
“現実が変わった”を
同じにすると詰む。
これは本当に詰む。
まとめ:一番怖いのは失敗じゃない
一番怖いのは、
変わってないのに
変わってる気分のまま
年だけ進むこと。
私はそれに気づいたから
一回、全部止めた。
拍手も、
キラキラした言葉も、
“次のステージ”も。
静かになった。
でも、
やっと現実が見えるようになった。
──という話。
