恋じゃなく、百貨店に浮かれる2月
昔の私は、わりと筋金入りの恋愛依存だった。
既読の有無で一日が決まり、会えない理由を勝手に深読みして、ひとりで疲れるタイプ。
でもなぜか、バレンタインみたいな“恋愛イベント”には昔から一ミリもときめかない。
「この日に想いを伝えましょう」っていう、
感情の一斉セールみたいな空気がどうも苦手だった。
恋愛には溺れてたくせに、イベントにはずっと素面。
それでも2月の百貨店には行く。
恋のためじゃない。完全に人間観察のため。
本命と義理の境界線を自分で難しくしてる人。
「自分用だから」って言いながら、誰かに見せる前提の高級チョコを選ぶ人。
紙袋のブランド格付けで静かにマウントが始まってる人。
“想い”より“限定”の文字に目が輝いてる人。
催事場は、恋愛というより、
承認欲求と資本主義がラッピングされた展示会みたいで、正直ちょっと面白い。
恋愛には散々振り回されたのに、
イベントには一度も心を動かされないままここまで来た。
キラキラした売り場を一周して、
人の熱量と、やたら美しいチョコレートをひと通り眺めて、
結局なにも買わずにそのまま帰る。
恋でもない。参加でもない。
イベントの熱狂を遠巻きに観測して帰る、静かな2月。
