#02 二世帯住宅 火災の不安を、できる限り減らしておくべし!
「実は……、
1階の火の不始末で、2階まで全部が――」
これは、
実際の火災を経験した方から聞いた言葉です。
その経験をきっかけに、後日、
《鉄筋コンクリート造の
完全分離型二世帯住宅》
の設計依頼が来ました。
今回は、
少し重たい話になるかもしれません。
ですが、
二世帯住宅を考える上で、
一度は向き合っておくべきテーマだと
建築士としての《私》は思っています。
それは、
「もし火災が起きた時、
上下階の家族の安全はどこまで守れるのか」
という問題です。
=============
まず最初にお伝えしておきます。
私は、
木造住宅を否定したいわけではありません。
実際、木造には木造の良さがありますし、
私自身も
数多くの木造住宅に関わってきました。
ただ――。
二世帯住宅は、
“親族である別世帯が同じ建物に住む”
という特殊な住まいです。
だからこそ、
「火災時、どこまで延焼を防げるのか」
という視点も、
設計段階で考えておく必要があるのでは
ないでしょうか。
ちなみに、
設計者である私はかなりの心配性です。
本当に。
*/ ̄*/ ̄*/ ̄*/ ̄
二世帯住宅には、
大きく分けて2つのタイプがあります。
ひとつは、
【完全分離型】
例えば、
・1階が親世帯
・2階が子世帯
というように、
生活空間を完全に分けるタイプです。
イメージとしては、
上下に 一戸ずつ の
アパートやマンションに近いでしょうか。
もうひとつは、
【非分離型】
こちらは、
いわゆる《サザエさん一家》のような暮らしです。
キッチンも、
お風呂も、
リビングも共有する。
家族全員が、
ひとつの住宅で生活を共にするタイプですね。
こちらについては、
また別の機会に掘り下げたいと思います。
今回は、
【完全分離型二世帯住宅】
についてのお話です。
*/ ̄*/ ̄*/ ̄*/ ̄
火災は、
起きないことが一番です。
当然です。
ですが現実には、
どれだけ注意していても、
火災は発生してしまいます。
では――。
もし1階で火災が起きた時、
2階の家族は本当に安全なのでしょうか。
この部分を、
設計者である《私は》かなり気にします。
例えば、
木造アパートの火災を思い浮かべてみてください。
火は、
壁紙だけを燃やすわけではありません。
《構造材》である木へ燃え移り、
天井裏や壁内を伝いながら、
一気に延焼するケースがあります。
もちろん、
全ての木造住宅が危険だと言いたいわけではありません。
現在では、
・省令準耐火構造
・準耐火建築物
・各種防火対策
など、
性能向上も進んでいます。
ですが、
構造によって
火災時の延焼リスクに差があることも、
また事実だと思うのです。
一方で、
RC造(鉄筋コンクリート造)マンションでは、
火元の住戸だけで鎮火し、
他の住戸では生活を続けているケースもあります。
コンクリート壁が、
延焼を抑える役割を果たしているからです。
この違いを、
あなたはどこまで重視しますか?
*/ ̄*/ ̄*/ ̄*/ ̄
私は以前、
消防士さんのお宅を2棟設計させていただいたことがあります。
お一人は戸建住宅。
そしてもうお一人は、
完全分離型二世帯住宅でした。
火災現場を何度も見てきた方々です。
だからこそ、
住まいに対する考え方も、
非常に現実的でした。
そしてお二人とも、
ほとんど同じことを仰ったのです。
「木造アパート火災では、
激しく燃えてしまうケースが多い」
「でもRC造マンションでは、
一酸化炭素中毒による被害はあっても、
ご遺体に大きな損傷がないこともある」
そして、
ある消防士さんが静かにこう言われました。
「もし火災で死ぬとしても、
せめて家族に顔が分かる姿で棺に入りたい」
私は、
言葉を失いました。
“百聞は一見にしかず”
まさに、その通りなのだと思います。
*/ ̄*/ ̄*/ ̄*/ ̄
実は、
我が家の子供たちが進学で家を出た時も、
マンション選びで最優先したのは、
「RC造の耐火建築物であること」
でした。
理由は単純です。
自分の子供の不始末であれ、
他人の不始末であれ、
万が一火災が発生した時に、
少しでも生存可能性を高めたかった。
親として、
それを重視したのです。
*/ ̄*/ ̄*/ ̄*/ ̄
二世帯住宅は、
本当に奥が深い住まいです。
単なる間取りの問題ではありません。
音。
距離感。
生活時間。
そして――命をどう守るか。
設計段階でそこまで考えて、
初めて“良い二世帯住宅”になるのだと思います。
設計を依頼する際には、
「その設計者が、
二世帯住宅のリスクを
どこまで理解しているか」
そこも含めて、
ぜひ確認してみてください。
そして《あなたの正解》にたどり着くことです。
家は、
家族関係だけではなく、
命まで守る場所なのですから。
=============
ここまでお読みいただき有難うございました。
共感いただける方が多いと嬉しい限りです。
よろしければ フォロー や ♡ を押しておいていただけると励みになります。
また次回もお付き合いください。
※趣味で以下も配信しています
▶ RC住宅を推奨しているのは
こちらのYouTubeチャンネル
▶ 建築施工管理技士を目指す方は
こちらのYouTube こちらのnote
▶ 土木施工管理技士を目指す方は
こちらのYouTube こちらのnote
▶ SFショートやエッセイを発信しているのは
こちらのnote
▶拙著(紙媒体)を紹介しているのは
こちらの出版社
▶電子書籍は
・工務店が語らない13の裏事情
・RC住宅に至る21のエピソード
・木造と同等価格のRC住宅
・家選びに必須の13の検討課題
