Muriel d'Ansembourg『Truly Naked』ポルノが氾濫した現代を生きる少年少女たち
2026年ベルリン映画祭パースペクティブス部門選出作品。Muriel d'Ansembourg長編一作目。アレクは物静かで内向的な高校生。父親はAV男優兼監督、自宅は撮影現場を兼ねており、今では父親が主演するAVの撮影編集など出演以外の裏方の仕事を一手に引き受けているが、同級生にはそのことを秘密にしていた。ある時、学校の課題でインターネットポルノ依存症について、相棒に立候補した女生徒ニナと共に調べることになった。彼女は誰にも依存しない独立したフェミニストであり、アレクに馴染みのない価値観を持つ人物だった。二人は惹かれ合っていくうちに、お互いの領域に足を踏み入れる。アレクは男優主導的なセックスを描きたがる父親の姿に疑問を持ち始める。父親は全盛期を過ぎたポルノスターであり、生活の維持に苦労しているため、話題になりやすい過激なパフォーマンスを望んでいるのだ。一方のニナも女優リジーを通して自分の理想論的な意見を現実と突き合わせる。"お前は私の肋骨から生まれたんじゃない、膣から生まれたんだ"と自分で書いたシャツを着ながら、ポルノ業界が最も自分を受け入れてくれた場所だとするリジーは、もう一人のニナのような描かれ方をしているのも興味深い。ポルノは(主に男性観客に)見せるためのセックスとして撮影されたコンテンツであり、双方が一方通行だ。そして、それは最初の時点でのアレクとニナ双方にも言えることだ。だからこそ、二人が辿り着くのが相互的なセックス(≒他者に見せないセックス)としての親密さなのだ。そして、第四の壁を越え、カメラを止める。上手い。あくまでポルノがデジタルの海に散乱した現代に、両親世代や下手したらリジーたちよりも、見ること/見られることに晒され続けている現代に、青春時代を生きる子供たちを視点人物としたカミング・オブ・エイジものとして構成するのも上手い。全体的にポジティブで風通しが良いのがとても良い。
・作品データ
原題:Truly Naked
上映時間:102分
監督:Muriel d'Ansembourg
製作:2026年(オランダ, ベルギー, フランス)
・評価:80点
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