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ずっと障がい者のままでいたい人もいる。それの何が悪い?


就労継続支援や就労移行支援。

どちらにも「就労」という言葉が入っています。

そのため、事業所に通うことは、いつか一般企業で働くための準備期間だと思われがちです。

でも、現場にいると分かります。

全員が一般就労を目指しているわけではありません。

そして、それは本当に悪いことなのでしょうか。


わざわざ苦労してまで働きたくない

当社ではここ数年、延べ人数で年間平均1,000人ほどの障がいのある方を受け入れています。

そのなかには、
「そんなに苦労してまで、社会に出なくてもいい」
と考えている人が、一定割合でいます。

もちろん、事業所の方向性や利用者層によっても違います。

あくまで僕の体感ですが、10〜20%ほど。

10人が作業に来れば、1人か2人は明らかに一般就労を目指していません。

働けないのではなく、そこまで働きたいと思っていない。

そんな人たちです。


向上心ばかりが正義ではない

福祉の世界では、よく「次のステップ」という言葉が使われます。

毎日通えるようになる。

作業時間を延ばす。

できる仕事を増やす。

工賃を上げる。

そして、一般就労を目指す。

確かに、それを望んでいる人にとっては大切な階段です。

でも、全員が同じ階段を登りたいわけではありません。

そもそも、一般企業に就職して社会に出ることが、本当に「向上」なのでしょうか。

「上に向かう」って何?

朝、決まった時間に起きる。

面接を受ける。

毎日通勤する。

職場の人間関係に気を遣う。

成果を求められる。

それによって収入が増え、生活が豊かになる人もいます。

一方で、心身をすり減らしてしまう人もいます。

向上心がないのではなく、望んでいる暮らしが違うだけ。

そう考えることもできます。


家賃がなければ、充分に暮らせる

東北の片田舎では、今でも三世代で暮らしている家庭が珍しくありません。

すでに住む家がある。

家賃を払う必要がない。

食費や光熱費も家族で共有している。

条件に該当すれば障害年金がある。

事業所へ通えば、わずかでも工賃が入る。

家庭環境や受給状況にもよりますが、家賃の負担がなければ、本人が自由に使えるお金が月10万円を超えるケースもあります。

そう考えると、
充分じゃね?(笑)
と思うことがあります。

もちろん、将来にわたって今の生活が続くとは限りません。

親は年齢を重ねます。

家の維持費もかかります。

家族に負担が集中している場合もあります。

ただ、現時点で本人が穏やかに暮らせているのなら、無理に面接を受け、通勤し、ストレスを抱えて働く必要が本当にあるのか。

それは、もっと考えてもよい問いです。


「働かない」と「何もしない」は違う

一般就労をしていないからといって、何もしていないわけではありません。

決まった日に事業所へ来る。

仲間やスタッフと話す。

自分のできる作業をする。

工賃を受け取る。

生活のリズムを整える。

それだけでも、本人にとっては立派な社会との接点です。

社会参加を、
週5日、1日8時間働くこと
だけで判断するから、話がおかしくなります。

社会とつながる方法は、就職だけではありません。


本人が望んでいないゴール

支援する側は、どうしても成果を求められます。

一般就労者を何人出したか。

工賃がいくら上がったか。

利用日数がどれだけ増えたか。

行政にも事業所にも、それぞれの都合があります。

まぁ、しょうがない(笑)

数字がなければ、事業の成果を説明することもできません。

ただ、数字を追いかけるあまり、本人が望んでいないゴールまで設定してしまうことがあります。

一般就労を目指している人は、全力で応援する。

今の場所で穏やかに暮らしたい人には、その暮らしをできるだけ長く続けられる方法を一緒に考える。

本来は、どちらも支援です。


ずっと障がい者のままでいたい

「ずっと障がい者のままでいたい」

そんな言葉を聞くと、引っかかる人もいると思います。

もっと成長したほうがよい。

自立を目指したほうがよい。

一般就労したほうがよい。

そう考えるのが、世の中では普通なのかもしれません。

でも、本人が今の生活を気に入っているのであれば、それを他人が否定する必要はありません。

制度は、ルールの範囲内で正しく使うことが前提です。

将来の生活や家族の負担を、何も考えなくてよいわけでもありません。

それでも、
「もっと頑張れ」
「次の段階へ進め」
と、本人が望んでいない荷物を背負わせる必要はないと思います。


開き直って生きるのもアリ

人に大きな迷惑をかけず、制度の範囲内で、本人なりに穏やかに暮らせる。

それも、ひとつの人生です。

無理に面接を受けなくてもいい。

無理に毎日通勤しなくてもいい。

無理に職場の人間関係で消耗しなくてもいい。

向上し続ける人生だけが、正しいわけではありません。

開き直って、ノンストレスで生きる。

そんな選択肢があってもよいのではないでしょうか。

仕事をするために生きているわけではありません。

自分に合った形で生きるために、仕事や福祉制度がある。

順番は、たぶんそちらです。


【最後まで読んでくれた一風変わったあなた♪】

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