バレンタインデーの奇跡を夢見た、あの放課後
2月14日。
学生時代、
この日が近づくと、
私はそわそわし始める。
普段はどうでもいい顔をしているくせに、
どこか期待している。
「もしかしたら、俺にも…」
そんな淡い希望を抱きながら
迎えるバレンタインデー。
そして、放課後——。
本命チョコがもらえる男子は、
一部の選ばれし者たち。
義理チョコすら縁のない者たち(私含む)は、
ただ見守るだけ。
しかし、
なぜか「今日はまだ終わっていない」と
思ってしまう。
「いや、まだ何かの間違いで…」
「もしかしたら、帰り際に誰かが…!」
そんな一縷の望みにすがり、
帰る時間を無駄に遅らせる私。
—— 教室に残る。
—— 廊下で時間を潰す。
—— 靴箱の前で、謎の用事があるふりをする。
—— 校門で「ちょっと考え事してました」みたいな顔でたたずむ。
「もしかしたら、
チョコを渡したいけど恥ずかしくて、
みんなが帰るのを待っている
女子がいるかもしれない…!」
そんな奇跡を信じ、無駄に粘る。
だが、現実は残酷である。
—— 何も起こらない。
—— すれ違う女子はただの帰宅部。
—— 目が合っても、特に何もない。
そして、
日が暮れ始めるころ、
ようやく悟る。
「……ダメだったか」
肩を落とし、帰路につく。
家に着く頃には、
「いや、別に欲しくなかったし?」と
自己防衛が発動。
次の日には
何事もなかったかのように過ごす。
しかし、
心の奥では来年の
バレンタインデーに
また奇跡を夢見る——。
(そして数十年後のいま、
「あの頃の無駄な粘り、
何だったんだろう…」と遠い目をする私。)
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