ある日、突然「声」を失ったVRChatのフレンドの話【※本人からの言葉を追加しました】
はじめにご挨拶
はじめまして、VRChatで無言勢バーチャルアイドルとして活動している「狐魅こん(きつねみこん)」といいます。
私はいま、無言勢でも「声」で会話が出来るようになる『KiseKoe』というギミックを開発中です。
この記事では、そのKiseKoeを作るきっかけになった、
“ある大切なフレンドが突然声を失った話” を書こうと思います。
私のことをよく知る人なら、いつもと文体が違うことに違和感を覚えるかもしれませんが、最後まで読んで頂きたいので読みやすい文章で書いています。
ある日、突然「声」を失ったフレンドのお話
私には、一緒に遊ぶフレンドの中でも特に仲良くしている子がいました。
明るくて、お喋り上手で、初対面の人でも笑わせてしまうような人。
無言勢に対しても優しくて、
テキストチャットを打ったら代わりに読み上げて、
みんなに伝えてくれていました。
私もお気に入りに入れていたので、
フレンド一覧で見かける度によくJoinしていました。
そんな彼が、ある日私にポータルを出して言いました。
「こんちゃんに…話しておきたいことがある。二人で移動していい?」
ワールドを移ったあと、
しばらくの沈黙が続きました。
いつもは誰よりも喋る人だったので、珍しいことでした。
私は「いまじゃなくてもいいこんよ。落ち着いたときで大丈夫こんからね🦊」と伝えました。
そうすると、彼は「いま伝えないといけないから」と言って、
恐る恐る口を開きました。
「次に会うとき、たぶん…声が出ないと思う。」
一瞬、どういう意味で言っているのかわかりませんでした。
「咽頭がんでね……手術で声帯を全部、取ることになった」
VRChatで毎晩のように一緒に遊んでいた大事な友達。
私よりずっとよく笑い、よく喋る人。
その彼が、
咽頭がんで声帯を切除する手術を受ける
という現実を、私はその日初めて知りました。
彼は、その日初めて、
「まだ若いのにガンになってしまった悔しさ」
「これから声のない人生を生きる不安」
を、堰を切ったように語ってくれました。。
私はただ、彼の言葉ひとつひとつを拾い続けるしかありませんでした。
手術後の初ログイン
手術から数ヶ月。
深夜2時に、久し振りにフレンド一覧に名前が表示されました。
何度も心配してDMを送っていたけど、
Xも更新されず、VRChatでも見かけなかった。
だから見つけた瞬間、反射的にInviteを送りました。
ワールドに入ると、彼のアバターが立っていました。
私は嬉しくて駆け寄り、いつも通り言いました。
「こんばんこんこ~ん🦊❤️」
そしてテキストチャットで「おかえりこんね、手術お疲れさまこんよ」と。
しばらくしてから、彼はぎこちなく手を降るアニメーションを再生しました。いつもなら明るい声で元気に返事が帰って来ましたが、ワールドはずっと無音です。この数秒間の静けさがとても胸に刺さりました。
彼はテキストチャットで、入院や手術中、病気の経過のこと、など話してくれました。こんちゃんはずっと心配していたこと、最近のVRChatの事情など、お話したことを覚えています。
無言勢となった彼の日常
それから、彼は「無言勢」としてVRChatに戻りました。
でも、以前とは、まるで過ごし方が変わっていました。
いつもは得意の話術と気配りで、みんなの中心にいたはずが、
いまはみんなが談笑している輪の端っこで、
彼は少し距離を置いて立つようになりました。
何か言いたそうに近づいてきても、
チャットを打つのが追いつかない。
モーションだけでは伝わらない場面も多い。
ある日、チルワで集まってみんなとお話をしていた時に、
彼がテキストチャットで発言しました。
でも、誰も気づきませんでした。
彼は気づいてもらおうと、
ジャンプしたり、手を振ったり、アバターをゆらしたり。
それでも気づかれず、ようやく誰かが
「◯◯さんがチャットしてるよ!」と言って伝えてくれました。
その“存在の伝え方”があまりにも健気で痛々しくて、
私はその場で泣きそうになりました。
次第に気づいた、深い孤独
時間が経つほど、彼の“間”は広がっていきました。
返事が遅れることを気にして
会話に入りづらくなる。
挨拶のタイミングが分からず、
輪の外から眺めている。
VRChatは自由な世界のはずなのに、
声を失っただけで、
こんなにも距離が生まれてしまうのかと痛感しました。
ある夜、XでDMの通知が届きました。
内容はこんなような事が書いてありました。
「無言勢って相手して貰えない事が多い」
「存在していないように扱われるのが辛い」
「会話のスピードが早くて混ざれない」
元々がとてもお喋りだったからこそ、より辛いと感じる事が多かったんだと思います。私は自分が試行錯誤して来た「無言勢でもコミュニケーションが取れる工夫」を知ってる限り伝えました。
変わらない"オフライン"の表示
それから彼はVRChatにほとんどINしなくなりました。
VRChatをやってても楽しいこと以上に、「声」を失った現実を突きつけられるようで悲しい事が増えたんだと言っていました。
それからしばらく「自分に何が出来るか」考えました。
彼の声を取り戻すことは出来ない。
けど、"彼らしい声"を選べる未来は作れるんじゃないかと。
無言勢にはいろんな事情を持った方がいます。
・家庭の事情でマイクを使えない方
・自分の声に苦手意識がある方
・喋ることに負担を感じたり、トラウマを抱えている方
・病気で声を失った方
もしも、そんな方が"自分らしい声"を選べたら、
衣装を着るように「声」も着せる事が出来たなら。
「声」で会話するという、楽しさをまた取り戻せるんじゃないか。
そう思って、
私がずっと自分用に使っていた「声のギミック」を
誰でも使える形にしようと決めました。
それが 『KiseKoe(キセコエ)』 です。
その後の彼について
彼をVRChatで見かけることはなくなりましたが、
XではたまにDMでやり取りを続けています。
無言勢でも「声」で話せるギミックを開発していることを伝えたり、
この記事を公開することについても承諾してくれました。
今は他のゲームをして「声」を使わない趣味を見つけているようです。
彼がまたVRChatに戻ってくるかどうかは分かりません。
でも、もしKiseKoeが無事完成したら、
「声を使う楽しさ」をもう一度味わってほしい。そう願っています。
そして、まだ知らないだけで彼と同じような境遇の方もきっといるはずなので、そういった方にも届けばいいと思っています。

追記:本人からメッセージを頂きました。
こんちゃんへ
声を失ったとき、
正直、これで全部終わったと思いました。
VRChatで話して、笑っていた時間も、
もう戻らないんだと思っていました。
毎日「なんで自分が・・・」と後ろ向きな毎日でした。
でも、こんちゃんがKiseKoeの話をしてくれたとき、
初めて「未来」の話をされた気がしました。
あとXでこのnoteに多くの方が反応してくれた事も嬉しかったです。
正直「障害を持つ」という事は自分に関係ない話だと思って生きてました。
今回はこんちゃんに私の話を取り上げていただきましたが、
読んだ人が自分がそうならない為に生活習慣を見直したり、
他人に少しでも寛容になってくれたらいいなって思います。
クラウドファンディング、応援しています。
この挑戦が成功したら、同じように声を失った人、
無言でいるしかなかった人たちの希望になると思います。
こんちゃんが本気で作ろうとしているこの世界を、
心から信じています。頑張ってください。
一人でも多くの方へ届くように
「KiseKoe」はいまクラウドファンディングを開催中です。
■VRChat無言勢を救う!VRChat向け着せ替えボイス実装プロジェクト

https://camp-fire.jp/projects/878268/view
詳しい内容はCAMPFIREのページに記載しているので、ここまで読んで「応援したい」と思っていただけたら、ご支援していただけると嬉しいです。
無言勢だけでなく、
・仕事で疲れて喋りたくない
・かわいい声、かっこいい声で会話したい
・ロールプレイを楽しみたい
そんな“有言勢”の要望にも応えるギミックになっています。
ご支援が増えれば、
新しい声優さんの追加や、対応シチュエーションの拡張など、
より多くの「声」を届けられるようになります。
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ある日、突然「声」を失ったVRChatのフレンドの話|狐魅こん https://t.co/QRTh8sechj
— 狐魅こん🦊⛩️@毎日会えるバーチャルアイドル💗 (@kitsunemikon) November 19, 2025
病気により無言勢となったフレンドとの話をnoteに書きました。「KiseKoe」の開発を決めた理由のひとつです。
長い文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
