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大学受験期にネトゲ廃人になり、人生おかしくなった話


今から15年前のこと。

大学受験を控えた高校3年の1年間、周囲が必死で勉強している中、私はネトゲ廃人になっていた

すべての始まりは2009年の4月、高3になった私が、Wii版の「モンスターハンターG(以下、MHG)」をふと手に取ってしまったことだった。


https://www.nintendo.co.jp/wii/software/romj/index.html


モンスターハンターとは、プレーヤーがハンターとなり、大剣・ハンマー・槍・ボウガンなどの様々な武器を使いながら、巨大なモンスターを狩るゲームである。

あるクエストに行き、討伐したモンスターから素材を剥ぎ取る → 剥ぎ取った素材から新たな武器や防具を作りステータスを強化 → より難しいクエストに挑む → 討伐したモンスターから素材を剥ぎ取る → ・・・ 

という繰り返しが基本なのだが、クエストの量は膨大であり、このループはほぼ無限だ。

また、オンラインのクエストでは仲間たちとの協力が不可欠であり、チーム一体となってモンスターを討伐した達成感には中毒性がある。

顔も声もわからないプレーヤーとでも、何度がクエストに挑戦し、苦労しつつも目標を達成していけば、「また明日も一緒に遊びましょうね」と、自然に絆ができ、仲間の輪が広がっていくのだ。

そして、「仲間に会うためにゲームをやる」というように、やがて動機がすり替わっていき、ずぶずぶと沼にハマってしまった。




生活は荒んでいった


最盛期、平日は毎日18時にログイン。ほどなくして仲間たちが集まっていき、何かに憑りつかれたのように狩りに没頭し、深夜2~3時頃に性根尽きて解散という、ブラックの代名詞たる国会対応中の霞が関官僚にも引けを取らないルーティンとなっていった。

そして、睡眠不足のまま登校し、授業中は仮眠をとり夕方からの戦いに備えた。
受験勉強なんてやっている場合ではなかった。

仲間の皆さんのほとんどは社会人だったが、仕事は大丈夫だったのだろうか。。。

休日はさらにひどく、午後に起床し、身支度を整えすぐさまログイン。
そのまま15時間コースで、途中、メシなど食っているヒマはなかった。

体重は5kg減った。
「ダイエットしたいんですけど」という人には、今でも「筋トレと登山、あとネトゲで必ず結果が出ますよ」と言っている。


2時間特定のモンスターの攻撃をひたすら避け続けるなどをして、あらゆるモンスターの行動パターンを徹底的に分析するということもやっていた。

指先の神経は研ぎ澄まされ、思考よりも先に手指の第一、第二関節が反射するレベルになっていった。

それほどまでに極めていると、最も多い時間帯でも1万人くらいしかプレイしていない狭い世界では、徐々に有名になっていった。

「意味わかんないほどつええ廃人がいる」と、私のプレーヤーネームが2chでさらされることもしばしばあった。


理不尽との闘い


当時のオンラインゲームは、「初心者でも上級者と一緒になって楽しめる」といったような丁寧なバランス調整がされておらず、実力と費やした時間がモノを言う世界だった。

そのため、新参者は既存の猛者コミュニティには入れず、やがて”野良”となり、自然と淘汰されていった。

一定レベルの強さの武器や防具を揃えないと、他のプレイヤーからは疎まれ、一緒にクエストにいってもらえない。
しかし、強い装備をつくるのに必要な素材は、難しいクエストをクリアしないと手に入らないというジレンマがあるからだ。

幅を利かせ、より面白いクエストに行ってエンジョイしている先行者たちが、勇気を出して救いを求めようとする初心者に説教タレて排除していく、そんな弱肉強食の構造を私はもどかしく思っていた。

幸い私はMHGを極めた廃人として名を馳せてしまっていたので、そんな偉そうにしている輩をシメ、新たな世界へ足を踏み出す者を支えることができた。

初心者には、操作にクセがあるものの使いこなせば最強の武器であるランスのコツや、こういう発言や振る舞いをするとウケが良い/悪いといったオンラインゲームの作法的なことを教示したり、一緒に高難度クエストに行って素材集めを手伝ったり、同じレベル感の人々が集まるコミュニティへ繋いだりもした。

ものすごく感謝された。

やがて廃人名誉に拍車がかかり、私がいないと世界が回らないとすら称されていった。


私は、学校では友達もおらず一言も発しない空気のような存在だった。
そんな私にとって、自分という存在が必要とされ、世の中の役に立ったことを人生で初めて実感できたのは、MHGのオンラインの世界だった。

よちよち歩きだったプレーヤーが一人前の狩人に成長し、旅立っていく姿は、私に生きる希望をもたらした。


そして伝説へ


肝心の受験勉強はというと、本当に全然やっていなかった。

センター試験・二次試験の前日(正確には当日)までゲームをし、仮眠を取って試験を受けるという体たらくだった。

それでもまあ、一応は地元の国立大学には行けた(ゲーム時間を捻出したかったので、滑り止めの私大は受けてすらいなかった)。

ペーパーテストなんて所詮はゲームと一緒で、目標を定め、パターンや傾向を分析し、さっさと攻略法を見つけて、対策に特化するだけである。

大学生となって間もなく、新たなモンハンタイトルへの引っ越しの流れが起き、徐々にMHGのプレーヤーは減っていった。

私自身も大学で登山を始めたこともあり、そろそろ潮時かと思った。ゲーマーとしての区切りをつけるため、引退を宣言した。

当時はリーマンショック後の不景気。
学生であることを明かしていなかった私はクソニートだと思われていたようで、引退表明時に、「この度は○○大学に行くことになりました」といったら、2ch界隈では衝撃が走ったらしい。

こうして、これまで関わった方々が新天地でも健勝されることを祈念しつつ、私はスパッとゲームをやめた。


やり込んで、他者へ貢献すれば、廃人だった過去すらも肯定できる


気付けば高3の1年間で、プレイ時間は2000時間を超えていた
換算すると3ヶ月間ぶっ続きでゲームをしていたことになる。

私は当時、日本一ゲームをした高校生だったかもしれない。

この時間を勉強に回していたら、もっといい大学に行けていたんじゃないかとは思う。
見方によっては人生おかしくなったことになる。

しかし、後悔はない。

ある意味、膨大な時間や学歴と引き換えに、生きる意味や社会的使命を見出せたからだ。

以来、どんなことであれ、「これだ!」と思ったものは精一杯やり込みましょう、と思うようになった。

「これだけは徹底的にやった」というものがあれば、それは自信につながり、やがては誰かを救うことになり、生きがいすら見つかることもある。

いやむしろ、その境地へ辿り着くために、廃人になることは避けては通れない道だったのだと、今では思っている。




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きつねのあずまや 旅の途中でお世話になった現地の方に、「〇〇さんからのオゴリです」とビールをごちそうします。

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