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サロマ湖100kmウルトラマラソンの攻略法と無職のプライド


何を血迷ったか、2025年6月29日に開催されるサロマ湖100kmウルトラマラソンにエントリーした。



受付開始の瞬間から繰り広げられる激しいクリック合戦を制し、出場の資格を手に入れた。

しかし、エントリーできたは良いものの、100kmを走るというのは想像しただけでも憂鬱である。
ウルトラマラソンをやる人は、本当にどうかしていると思う。

自分の中で何か変化があったのだろうか?

確かに、100km完走の世界は見てみたい。
そして、北海道へ移住してきたことや、ウルトラマラソンを走る機会は気力・体力・時間が充分にある今しかない、という事実も大いに後押ししたかもしれない。

というわけで、かれこれ40年続く由緒ある変人たちの祭典に潜り込んでみることにした。




目標と大まかな戦略


サロマ湖100kmウルトラマラソンの制限時間は13時間。
早朝5時にスタートし、18時がリミットとなるレースである。

ちなみに、トップランナーは6時間台で100kmを完走するそうだ。おかしい。

完走率は概ね60~70%のようだ。
キリマンジャロの登頂率と同じくらいだが、それなりにランナーとして経験を積んだ人たちの数字なので、中々厳しい戦いなのだろう。

今回はとにかく制限時間内に完走することを目標とした。

しかし、制限時間内にゴールできるかどうかわからないプレッシャーを常に背負って走り続けるのは精神衛生上よくない。

そのため少し余裕をもち、12時間以内に完走するための戦略を練っていくこととする。

途中のエイド休憩に計1時間ほど費やすことを考慮すれば、実走行時間はおよそ11時間。
となると、走行スピードは時速9km、つまり1km 6分40秒のペースをひたすら続けることになる。

まあ、10時間以上動き続けるのは登山で慣れている。

メキシコ最高峰オリサバ山では、空気が下界の半分しかない中で10時間行動だったし。



とにかく走れ


ウルトラマラソン関係の書籍をいろいろ当たってみた。
その中で、最も客観的で鋭い考察をしていた書籍はなんと、これだった。



まさかの登山本である。

ちなみにこの本、その名のとおり、”登山の運動生理学とトレーニング学”についてが主なネタであり、至って真面目な内容だが、後半には人間の可能性と限界を突き詰めていくところが非常に面白い

  • 「爪の壊死」

  • 「意識障害」

  • 「幻覚と幻聴」

  • 「耐乏的な登山」

  • 「身体組織を犠牲にする覚悟と、低下した身体機能に耐えて行動する能力」

といったデスワードが要所々々で飛び交っていて、かなりヤバいのである。

ハードな登山をガンガンやりたい人、自らの肉体を追い込むことを正義とする人、このようなド変態たちが何を考えどういう鍛錬をしているかが気になって仕方がない人には、自信を持ってオススメしたい1冊である。

ほ~ら、そう聴いてニヤついている、そこのあなた。
さっそくポチって読んでみましょう。

これほどヤバい本は普通の書店には置かれませんよ。



この本は登山本のくせに、ウルトラマラソンに関する調査・研究も含んでいる。

よれば、ウルトラマラソンの最適なトレーニング方法としては、学術的にも結局のところ、「とにかく走れ」である。

つまり、量をこなすことで、ウルトラマラソンに向けた脚を作っていき、超長距離走の”経験知”を増やしていくことだ。
ウルトラマラソンの成績上位者は、月に260km、1日あたり10~15kmのランをこなしているとある。

さらに、ウルトラマラソンはもはや持久力の世界ではなく、”人体の耐久力”の勝負である。

42.195kmのフルマラソンとは異なり、決して大腿四頭筋の筋持久力を上げるだけではダメで、レース中のパフォーマンスを制限する要因を1つずつ潰していき、耐久力を底上げすることが必要となる。

パフォーマンスを制限する要因はいくつかあり、代表的なものとしては、

  • 筋肉痛

  • 関節痛

  • 足裏の痛み(靴擦れ、まめ、足底筋膜炎など)

  • エネルギー不足

  • 脱水症状

  • 胃腸のダメージ

といったものがあり、その人・その時に合った対策を講じていかなければならない。

したがって、実際に長距離を走りながら自己対話を繰り返し、どこにボトルネックがあるのかを都度見極めることが重要となる。

そして、「これはガチ登山にも応用できますよ」、という結論でウルトラマラソンの章を締めくくっている。やっぱり登山本なのである。


トレーニング方法


6月29日のレース本番まで、あと5か月弱。
ここからは具体的な作戦について考えていきたい。

まずは、1週間に3回以上のラン、そして月2回以上の長距離走(30km以上)を大まかな方針とした。

体力以外のパフォーマンス制限要素は走り込みをする中で考えていくとして、ざっと次のような月ごとのトレーニングメニューを考案した。


2月:ランニングを生活の一部に

目標走行距離:150km

まずはランニングを「生活の一部」として身体に沁み込ませる時期。

なお、私の住んでいる北海道は積雪で屋外を走れないため、ランニングはジムでのトレッドミルのみとなる。

1日の走行距離は8km。
月に数回の山スキーを長距離ランの代替とする。


3月:実践的な練習を

目標走行距離:200km

徐々に実践的なランを増やしていく時期。

月の前半は引き続きジムでのトレッドミルのみだが、後半からは下界でも雪が解けて走れるようになるため、ロードランを開始。

1日の走行距離は10km。通しで30km走ってみる。
山スキーはもちろん継続。


4月:追い込み期

目標走行距離:250km

おそらく本番までに最も重要となる時期。
この時期にウルトラランナーとしての基盤を確たるものにしたい。

1日の走行距離は10~15km。通しで60km走ってみる。
山スキーはほどほどに。


5月:仕上げ期

目標走行距離:250km

ピークパフォーマンスを発揮するために身体を仕上げていく時期。
山スキーシーズンは終わるため、ランに専念。

1日の走行距離は10~20km。本番のシミュレーションとして、75kmを走ってみる。


6月:調整期

目標走行距離:なし

いよいよ本番に向けて、溜まった疲労を除去することを重視する。

ただし、トレーニングの一環として、6月2日に開催される千歳JALマラソン(フル・サブ4目標)には出場し、「レースの舞台」に立ってみる。

1日の走行距離は5~10km。

そして6月29日のレース当日を迎える。



トレーニングでは10km/hのペースを心がける。

また、山へ行ったら、行動時間×メッツ数を走距離に換算し、走行距離に加算することとする。

たとえば羊蹄山での山スキーで6時間行動したとしたら(登り5時間+下り1時間)、7.5km/hのランと同程度の負荷として、45kmを走ったことにする。

とりあえず方向性としてはこんな感じで、あとは臨機応変にやってみましょう。


活力資産の回復と無職の自負


ウルトラマラソンの魅力は、「完走の先にある自信と達成感」にある、、、らしい。

私はその境地に到達したことがないので何とも言えないが、これはなんだか「風来のシレン6」の”超・神髄”のようである。



会社を辞めて間もない頃、私は日がな一日ゲームばかりの自堕落生活を送っていた。

これは忘れられない思い出だが、会社員時代末期の私は、産業医に”ストレス障害”と診断されるほど耗弱していた。
おそらく、うつ病の一歩手前まで来ていたのだと思う。

会社を辞めて半年が経つが、現在も書籍「LIFE SHIFT」でいうところの”活力資産”の回復期だと思い、日々をのんびり過ごしている。



金融資産の構築と引き換えにおよそ10年かけて毀損された活力資産は、たかだか数ヶ月程度で回復できるようなものではなく、もう少し再生に時間がかかりそうだ。

しかし、活力資産が回復するにつれ自分の中で何らかの変化が出てくるような気がしており、今回サロマ湖100kmウルトラマラソンの出場を決めたのは、その兆候の一つなのだろう。

最近になってようやく、本腰を入れて何かに挑戦したいという気持ちが湧いてきた。この気持ちには、素直に向き合いたい。

そうとなれば、出しましょう。全力を。
無職という名に恥じないように!




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きつねのあずまや 旅の途中でお世話になった現地の方に、「〇〇さんからのオゴリです」とビールをごちそうします。