blender 5.2 Cloth Dynamics - クロス力学モディファイアー
blender 5.2より新モディファイアー「クロス力学」が追加されました。従来はクロスシミュレーションで行ってきた物理的な布のシミュレートをモディファイアーで行えるようになっています。現在は実験的(Experimental)な段階で、アルファ、あるいはベータ段階と思われます。かんたんに紹介します。
環境 Blender 5.2.0 LTS, Mac Mini M1 OS 14.4
基本
デフォルトの平面オブジェクトを追加し、ここでは、辺>細分化で、30分割し、細分化。

このまま「クロス力学」モディファイアーを追加しても、下へ落下するだけなので、
ピン留めする頂点を、ここでは3頂点選択
頂点グループ「Group」を追加し、割り当て

シミュレーション>クロス力学(実験的)モディファイアーを追加
生成>サブディビジョンサーフェスモディファイアーを追加、メニューから、オブジェクト>スムーズシェードを選択(どちらも必須ではない)

タイムライン画面で開始ボタンを押し、シミュレーションを開始

曲げやすさ(Bendiness)、伸縮性(Stretchiness)
曲げやすさでは、布のやわらかさを操作でき、伸縮性では、布の伸び縮みしやすさを操作できる。


Experimentalなこともあってか、セルフコリジョンは精密には動作せず、布同士が突き抜けてしまうことが多い。現状ではセルフコリジョンを操作する値は見当たらない。
ソルバー(Solver)の各値は、値が大きいほど物理的に正確なシミュレートを行えると思われる。その代わり、動作負担が大きい。
減衰(Dumping)の値は、上の場合、空気抵抗を受ける大きさを表す。値が大きいほど、上の場合、ゆっくりと布が降下する。
エフェクター(Effectors)
エフェクターは、各種シミュレーションの「コリジョン」に相当する。
たとえば、下の2オブジェクトを追加し、どちらも、シミュレーション>コライダー(Collider) モディファイアーを追加。

2オブジェクトを選択し、Mキーを押して、「新規コレクション」から、ここでは「Colliders」の名前でコレクションを作成。

クロス力学モディファイアーを追加した布オブジェクトを配置し、エフェクター>エフェクターコレクションに、「Colliders」コレクションを指定。

このため、単一のオブジェクトであっても、エフェクターは必ずコレクション化する必要がある。
シミュレーションを開始。

やや貫通があるので、その場合は、コライダーを追加したオブジェクト側で「余白」を設定するか、クロスオブジェクトの構造>衝突半径を大きめに設定する。



同様に、クロスオブジェクトが滑り落ちてしまう場合は、コライダーの「摩擦」、クロス力学の構造>摩擦の値を大きくする。
クロス力学の「曲げやすさ」の値を、0.3に変更。

引き裂き(Tearing)
クロスをシミュレーション中に引き裂くような動作を加えることができる。
たとえば、クロスオブジェクトの下の頂点を選択し、頂点グループ「rip」に割り当てる。

クロス力学の、引き裂き>引き裂きモードを「カスタム」、引き裂き辺グループの右端の十字をクリックし、上で割り当てた「rip」を指定。

シミュレーションを開始。

引き裂きモードは、他に「すべて」、「ボロノイ」があり、引き裂かれるポイントは、シミュレーションによってクロスが伸びる箇所が自動で判別されるようだ。おそらくクロスシミュレーションにはない機能で、工夫によってはおもしろい表現もできるかもしれない。

まとめ
最近のblenderは、既存のシミュレーション系機能をモディファイアー化し、便利にまとめてしまおうという傾向があるようです。この新モディファイアーは、開発途上ということもあり、現状では、すこし微妙な印象ではあります(セルフコリジョンの動作など)が、比較的シンプルなクロスシミュレーションを手軽に行えるという点では、今後に期待できるモディファイアーではないでしょうか。参考まで。
