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「痩せる」より「強くなる」。なぜ筋肉が人生の土台になるのか?|『筋肉が全て』を読み直す

健康になろうと思ったとき、私たちはよく「減らす」ことから考えます。
体重を減らす。
脂肪を減らす。
食べる量を減らす。
お酒を減らす。
間食を減らす。

もちろん、それが必要な場面もあります。
でも、ガブリエル・ライオンの『筋肉が全て』を読んでいると、健康を見る向きそのものを反転させる問いが出てきます。

「何を減らすか」ではなく、「これからの人生のために、何を育てるか」。

今日読み直す『筋肉が全て』は、2026年3月にダイヤモンド社から刊行された434ページの一冊です。

「筋肉量こそが人体の全てのカギ」と打ち出し、「Muscle-Centric Medicine(筋肉中心の医学)」という考え方から、健康を筋肉側から捉え直しています。

実は、私がこの本に強く引っかかった理由がもう一つあります。

私はいま、「ナリキル日記」というアプリをつくっています。
未来の自分を頭の中で思い描いて終わるのではなく、呼吸、音、空間を使いながら身体ごと視座を動かし、そこで見えたものを今日の一手へ下ろしていくためのアプリです。

🎙 この記事は、音声でもお聴きいただけます。
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だから『筋肉が全て』を読んでいるうちに、私は筋肉の話だけではなく、もっと大きな問いを読んでいる気がしてきました。

未来の自分をつくるとき、なぜ私たちは「頭」ばかり変えようとするのだろう。

身体だって、未来へ向かって育てることができるのではないか。

この本は、その当たり前なのに見落としやすいことを、ものすごく力強く教えてくれます。

1.何十年も「減らそう」としていた女性

ベッツィーという50代前半の女性が登場します。彼女は最初の出産以来、同じ約20ポンドを落とそうと何十年も苦労していました。

普通なら、ここで考えるのは「どうすれば体重を減らせるか」です。

でも、筆者・ライオンの見方は違いました。

高齢者医療と肥満に関わる患者を見続ける中で、彼女が注目したのは、ベッツィーたちに共通する筋肉量の少なさや筋肉機能の問題でした。
そして、「減らすべき脂肪」だけを見るのではなく、「これまで十分に育ててこなかった筋肉」へ視点を移します。

私は、ここがこの本の一番おもしろいところだと思います。

単に「ダイエットするなら筋トレもしよう」という話ではありません。

問題そのものの読み方を変えた。

同じ身体を見ている。でも、「何を減らすか」と見るのか、「何を育てるか」と見るのかで、次に選ぶ行動まで変わってきます。

2.筋肉は、「身体を動かすための部品」ではない

そもそも、私たちは筋肉を少し狭く見ているのかもしれません。

筋肉と聞くと、腹筋、腕、脚、スポーツ、見た目を思い浮かべます。
つまり、筋肉とは「身体を動かすためのもの」というイメージです。

でも、骨格筋はそれだけではありません。

研究では、骨格筋は収縮に伴ってマイオカインと呼ばれる物質などを分泌し、離れた臓器や組織とも情報をやり取りする内分泌器官として捉えられています。筋肉と代謝、炎症、他臓器との相互作用は、現在も重要な研究領域です。

ここまで分かると、「筋肉を育てる」という言葉の意味が一気に広がります。

鏡に映る身体を変えるだけではない。重いものを持てるようにするだけでもない。

これから何十年も使い続ける身体の土台を育てる。

『筋肉が全て』は、筋肉をそのくらい大きなスケールで見せてくれます。

4.筋肉は、未来へ持っていける「資産」なのかもしれない

この本がさらにおもしろいのは、話が「今日の身体」で終わらないところです。

公式の書籍紹介では、代謝、加齢、睡眠、メンタルなど幅広いテーマを筋肉から扱い、著者も『Forever Strong』を、年齢を問わず筋肉をつくり、強さを育て、身体の可能性を引き出していくためのロードマップとして位置づけています。

つまり、見ている時間軸が長い。

今日、体重計の数字が何キロだったかだけではありません。

10年後、20年後も、自分の身体で何をできていたいのか。

そこから今を考える。

私はこの本を読みながら、筋肉を「資産」として考えると、とても分かりやすいと思いました。

お金を積み立てる。知識を積み重ねる。経験を積む。私たちは、将来のためにいろいろなものを現在から少しずつ蓄えています。

だったら身体にも、未来へ積み立てられるものがある。

今日一回の運動で、人生が劇的に変わるわけではありません。
でも、歩く。鍛える。食べる。休む。
また続ける。
その小さな積み重ねが、未来の身体の選択肢をつくっていく。

筋肉は、未来の自由を支える資産なのかもしれません。

5.「未来の自分」から、今日を決める

そして、ここからが私にとって、この本のもう一つのおもしろさです。

著者・ライオンは、単に健康上の「目標」を置くだけではなく、どんな人になりたいのかを考え、その未来の自分にふさわしい基準と行動へ落としていくことを重視しています。

たとえば、「5キロ痩せる」なら、数字が目的になります。

でも、「10年後も自分の足で好きな場所へ行ける人でいたい」と考えたらどうでしょう。

今日歩くことの意味が変わる。

「年齢を重ねても、新しいことに挑戦できる身体でいたい」と考えたら、筋トレの意味も変わります。

今日つらいからやる運動ではなく、未来の自分へ近づくための一手になる。

ここは、社会人先生の考え方とも非常によく響きます。

最新版の社会人先生では、未来実現の原理を「現実を動かす力=未来の臨場感 × 無意識力」という概念式で整理しています。
ここでいう未来の臨場感は、未来を強く願えば勝手に実現するという意味ではありません。
まだ実現していない未来を、現在の判断基準として使えるほど現実味を持って感じることです。

未来の自分がリアルになれば、「今日はどうする?」の答えが変わります。

その未来の自分なら、今日どう食べるだろう。その未来の自分なら、今日どれくらい身体を動かすだろう。その未来の自分なら、疲れた身体をどう休ませるだろう。

未来を願望のまま置かず、今日の判断へ下ろす。

ここに、『筋肉が全て』と社会人先生の接点があります。

6.頭だけではなく、身体ごと未来へ近づく

だから私は、いまつくっている「ナリキリ日記」でも、未来の自分を言葉だけで考える設計にはしていません。

社会人先生の中核訓練であるナリキルでは、自分への固定をゆるめ、未来人・相手・場〈全体〉へ視座を動かします。
その方法として使うのが、呼吸 → 音 → 空間です。

たとえば未来人へナリキルなら、「成功している自分を想像してください」で終わらない。

呼吸はどうなっているか。声はどう出ているか。どこを見ているか。周囲の空間をどう感じているか。

未来の自分を、身体感覚まで含めて試してみる。

アプリでは、その体験から見えたことを残し、「では今日、何を一つやるか」まで下ろしていきます。

『筋肉が全て』を読んでいると、私はこの「身体まで未来へ連れていく」という発想の重要性を改めて感じます。

筋肉とナリキルは同じものではありません。

でも、どちらにも共通しているのは、人生を頭の中だけの出来事として扱わないことです。

7.私たちは、すでに「未来のために今を仕込む」ことを知っている

考えてみれば、未来のために今を整えることは、私たちがすでに日常で使っている力です。

明日の仕事のために、今日資料を準備する。
来週困らないように、先に予定を整える。
健康診断を受ける。
貯金をする。
疲れを翌日に残さないために、早く寝る。

どれも、その瞬間だけを見れば「今すぐ必要ではない」ことがあります。

それでもやるのは、未来まで含めて現在を読んでいるからです。

社会人先生では、日本の社会人が日常の中ですでに無意識に使っている、こうした「現実を読む力」を見つけ、意識して再現できる形へ育てることを大切にしています。

だったら、身体も同じです。

「年を取ったら運動しよう」ではなく、未来の身体のために、今日から仕込む。

『筋肉が全て』は、その価値をこれ以上ないほど分かりやすく見せてくれます。

8.「何キロ減らすか」より、「何をできる自分でいたいか」

では、何を始めればいいのでしょうか。

ここで、一気にすべてを変える必要はないと思います。

本書には食事、タンパク質、筋力トレーニングなど具体的な方法がありますが、最初に考えてみたいのは方法ではありません。

「10年後も、自分の身体で何をできていたいだろう。」

旅行へ行きたい。好きな仕事を続けたい。長く歩きたい。新しい場所へ行きたい。家族や友人と出かけたい。
答えは、人によって違います。
その未来が見えたら、今日できる一手を一つだけ試してみる。
少し歩く。身体を動かす。休む時間を変える。運動習慣を見直す。
そして、自分の身体がどう反応したかを見る。

WHOも成人について、主要筋群を使う筋力強化活動を週2日以上行うことを推奨していますが、実際の運動量や方法は年齢、体力、持病などによって変わります。

だから、誰かの方法をそのままコピーする必要はありません。

試す。観測する。自分に合わせて変える。

社会人先生では、これを自分メソッド化と呼んでいます。誰かの正解を覚えるのではなく、原理を自分の現実で確かめ、無意識から使える自分の型へ育てていく。

おわりに|「減らす人生」から、「育てる人生」へ

ベッツィーは、何十年も「どうすれば、この体重を減らせるだろう」と考え続けていました。

でも、ライオンがそこに見つけたのは、別の問いでした。

「何を減らすか」ではなく、「これからのために何を育てるか」。

私は『筋肉が全て』という大胆なタイトルを、読み終えると少し違う意味で受け取るようになりました。

筋肉だけを見ればいい、という意味ではありません。

人生を最後まで自分の身体で生きるために、未来を支える「強さ」を、今から自分の中へ育てていく。

その重要性を、これほど正面から教えてくれる本なのだと思います。
お金を積み立てるように、知識を積み重ねるように、経験を積むように。
身体にも、未来へ積み立てられるものがある。
だから次に健康について考えるとき、「何を減らそう」と考える前に、もう一つの問いを置いてみたい。

「未来の自分のために、私は今日、何を育てよう。」
その問いから始まる一歩は、単なるダイエットとは、少し違うものになるはずです。

今回読み直した本

ガブリエル・ライオン著、御立英史訳『筋肉が全て――健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』。ダイヤモンド社、2026年3月刊、434ページ。

「社会人先生」とは?

日本人が無意識に実践してきた「現実を動かす力」を、誰もが再現できる形に言語化した実践体系です。

社会人先生では、現実を動かす力を、

未来の臨場感 × 無意識力

という概念式で捉えています。

未来人・相手・場〈全体〉へ「ナリキル」ことで視座を育て、そこで見えたものを今日の一手へ変える。そして、実際に動き、現実の反応を観測し、修正しながら、無意識から自然に使える「自分の型」へ育てていく。

「無意識」を育てる。それが、ナリキル。

全体像はこちらです。

「ナリキル日記」をつくっています

今、この「ナリキル」を日常で実際に試せるようにするため、「ナリキル日記」というアプリを開発しています。

未来の自分をただ想像して終わるのではありません。
呼吸 → 音 → 空間を使いながら、未来人・相手・場〈全体〉へ実際にナリキル。
そこで何が見えたのか、今日どんな一手を選ぶのかを記録し、現実で試していきます。

今回の『筋肉が全て』を読みながら、改めて感じました。

未来は、頭の中だけでつくるものではない。

身体も、判断も、行動も、少しずつ未来側へ育てていく。

筋肉を育てることも、ナリキルことも、いきなり完成する必要はありません。

今日、一つ育てる。現実を見る。そして、また少し育てる。

そんな毎日の積み重ねを、あなただけの「ナリキル」へ育てていくアプリにしていきます。

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