夏は、耳からやってきた。 |季節のかけら#2
窓辺に吊るした風鈴が風にそよいで、りん、となる音。
ガラスのグラスに入れた氷が、カラン、となる音。
そして、遠くでセミが、ミーンミンミン、カナカナカナカナ、と鳴く声。
今日、今年初めてのセミの声に気付いた。
きっと昨日も、一昨日も鳴いていたのだと思う。
でも、今日はその声が私のところまで届いた。
忙しかったわけでもない。
耳をふさいでいたわけでもない。
ただ、洗濯物を干しながら、
ふと空を見上げたその瞬間だった。
「ああ、夏なんだ。」
そんな言葉が、
心の中に静かに浮かんできた。
季節は急に始まるものじゃない。
私が気付いた日が、私にとっての夏の始まりなのかもしれない。
今日気付いた夏を、
またひとつ、大切にしまっておこう。
きっと明日も、
風は吹いて、
セミは鳴いている。
その声に、
また会える日を楽しみに。

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