刑事事件ー余罪に注意
1.はじめに
こんにちは!
弁護士の小林正和です。
今回は、余罪についてです。
被疑者にとっても、弁護人にとっても、今後の見通しを知る上で極めて重要なポイントです。
2.余罪
被疑者が、〇〇罪で逮捕・勾留されて、接見に行くと、弁護人は、接見で、その〇〇罪について事情をお伺いします。
しかし、逮捕・勾留の理由となった〇〇罪だけにではなく、被疑者が、実は他にも「余罪」を犯している(嫌疑をかけられている)場合もあります。
3.弁護人として余罪の確認は重要
余罪について問題なのは、弁護人の立場であっても、捜査機関(検察、警察)が積極的に余罪の存在を丁寧に教えてくれるわけではありませんし、更に言えば、被疑者自身が隠している、あるいは、認識していない場合もあります。
これが、やっかいなところです。
というのは、余罪があると、再逮捕・再勾留がされる場合があり、被疑者段階の身柄拘束期間が延びるからです。
1件の逮捕・勾留だと最大でも被疑者段階は身柄拘束期間が23日ですが、余罪の再逮捕・再勾留で更に13日あるいは23日拘束期間が増えます。更に、、、ということもあります。
4.よくある再逮捕・再勾留のパターン
(1)特殊詐欺
オレオレ詐欺やら給付金詐欺とも言われますが、大抵の場合、複数の被害者に対して、犯行を繰り返してしまっている場合が多いので、典型的な余罪で再逮捕・再勾留されるパターンです。
長い場合は、再逮捕・再勾留が繰り返されて半年以上、被疑者段階が続くこともあります。
捜査機関は時間をかけて全貌解明をしようとします。
(2)組織的な犯行や共犯事件
特殊詐欺だけでなく、複数の被疑者(共犯者)が関わる組織的な犯行や共犯事件の場合には、全貌解明のため捜査機関がそれなりに捜査に時間を要することから、時間稼ぎのために、再逮捕・再勾留を繰り返す場合があります。
(3)住居侵入、邸宅侵入、建造物侵入
住居侵入罪等で逮捕・勾留されたときは、その先に本丸の事件が隠れていることが多いです。
たとえば、元交際相手の家への侵入の場合、脅迫罪、恐喝罪、ストーカー規制法違反、性犯罪などの別罪が隠れている場合が多いです。
若い頃、国選で侵入罪の事件が配点されたときは、
「やったぁ簡単な罪だ!」
と思っていましたが、今は、
「あぁヤバそう。実態はどうなんだろう。」
と思ってしまいます。
(4)薬物の使用・所持罪
覚醒剤などの使用と所持は、それぞれ、使用罪、所持罪と別の罪になるので、場合によっては、まず使用罪で逮捕・勾留されて、その後、所持罪で逮捕・勾留される場合もあります。
もっとも、使用罪で逮捕・勾留されても、使用罪で先に起訴され、所持罪は追起訴で後で乗っけられる場合の方が多く、再逮捕・再勾留とならない(被疑者段階が長くならない)場合の方が普通です。
5.被疑者が隠す、認識していない場合
被疑者と弁護人の信頼関係は重要なのですが、最初は被疑者が余罪を隠しており、後で、
「実は、・・・」
と言われることもあります。
経験上、都合の悪いことは弁護人にさえ隠すことは多いようです。
ですので、防御の観点から余罪(の可能性)を含め、全部話してもらうよう積極的に促す必要があります。
6.実際上の不利益
身柄拘束期間が延びるのに加え、保釈請求ができない、というのが実際上の不利益です。
被疑者段階でも、身柄拘束を解くために、勾留等につき、準抗告などで争うことはできるのですが、身柄釈放の可能性は保釈より低いです。
7.最後に
今回は、刑事弁護は余罪についてでした。
逮捕・勾留されてしまった方は、余罪(の可能性)について正直に弁護人に伝えることが大事です。
弁護人としては、被疑者に余罪(の嫌疑)がないか、過去の経験から想像を働かせて、積極的に確認することが重要です。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。
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