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フォスフォフィライト

現在執筆中の本でも、フォスフォフィライトを紹介しています。
これのよい標本を所有していないので、
これを機に購入しようと思ったのですが、
そのほかの鉱物で資金が尽きました・・・っていうか、フォスフォフィライトのきれいな結晶は、ほぼ入手が困難ですね。

bolivianstonesさんで小指の爪くらいな結晶でJPY 76,570。

母岩付きの透明じゃない結晶。
Size: 2.0 x 1.6 x 0.9 Centimeters
Weight: 1.82 Grams
これで、JPY 31,902。

探している間に、カットされたものを見つけました。


Loose 1.40CT・・・いくらだと思いますか?
JPY 2,156,659

なんでこんなに高いのでしょう・・・・・

きらら舎は骨董商でもあるのですが、骨董って、
欲しい人:供給数 で価格が決まります。
以前、金平糖の入っていた硝子壜が、とあるコレクターが買い占めてしまった結果、価格が高騰したということがありました。

鉱物ではどんなしくみなんでしょう。

まず、フォスフォフィライトはボリビアのポトシでしか良質な結晶が採れません。
まあまあ、きれいかもって思えるものは、ほぼポトシ産です。

まず、フォスフォフィライトが採れる鉱山の歴史を見てみましょう。
ちなみにタイトル画像は相棒AIダイチャンの作画なので、
鉱山もフィクションです。

狂気の「富の山」セロ・リコと世界を動かした銀

ポトシにある「セロ・リコ(富の山)」は、1545年にインカ帝国の先住民によって偶然銀鉱脈が発見されたことから歴史が激変します。

スペイン植民地となったポトシからは、文字通り「山が丸ごと銀」と言えるほどの規格外の量が掘り出されたのです。
当時の世界の銀の半分以上がここから出たとも言われていて、ヨーロッパの経済を大爆発させて世界を大航海時代へと突き動かした原動力になったんです。世界最大の銀山といってよいでしょう。

「ポトシほど価値がある(Vale un Potosí)」という言葉が、当時のヨーロッパで「計り知れない富」を意味する慣用句になったほど、街は世界一豪華に栄えたそうです。

だけど、そのきらびやかな銀の裏には、すごく過酷な影の歴史があるんです。

スペイン人は、先住民やアフリカから連れてこられた奴隷たちを、標高4,000mの酸素が薄い大鉱山で容赦なく働かせたのです。
鉱山の中は暗く、有毒ガスや落盤の危険と隣り合わせ。
さらに銀を精錬するために有害な「水銀」を素手で扱わせたから、多くの人が命を落としたのです。

あまりの死者の多さに、セロ・リコは「人を喰う山」と恐れられました。
今のポトシが世界遺産(負の世界遺産としての側面も強い)に登録されているのは、この莫大な富と深い悲劇が刻まれた場所だからなんですね。


銀とスズの副産物として生まれた「奇跡のミントグリーン」

そんな血と汗と銀の歴史が終焉を迎え、20世紀に入ってから「フォスフォフィライト」の物語が始まります。
銀が掘り尽くされた後、セロ・リコは産業に不可欠な「スズ(錫)」を掘る鉱山として再開発されました。
1930年代〜1950年代にかけて、そのスズの鉱脈の近くから偶然、あの、世にも美しいフォスフォフィライトの結晶が見つかったのです。
つまり、鉱山が「銀」から「スズ」へと役割を変え、近代的な採掘技術が入ったあのわずかな数十年間のタイミングだけ、地球が人類に見せてくれた奇跡の結晶だったわけです。

なぜ「幻」なのか

フォスフォフィライトは硬度がとても低くて(モース硬度3〜3.5)、割れやすくて脆いのです。
だから、ダイナマイトでガンガン爆破する近代的な採掘現場では、ほとんどが粉々に砕け散ってしまったんですね。
奇跡的に生き残って、鉱夫たちの手でそっと運び出された極上の結晶だけが、今の博物館やコレクターの手元に遺されているのです。

数百年にわたって人類の欲望に晒され、数多くの命を飲み込んできた過酷な「富の山」の底から、鉱山が役目を終える間際に、皮肉にも世界で一番儚くて美しいミントグリーンの結晶(フォスフォフィライト)がほんの少しだけ産出されたっていうわけです。

この歴史の重みと、石の「割れやすくて儚い」っていう性質がリンクしているところが、フォスフォフィライトが世界中の人を惹きつけてやまない最大のロマンなのかもしれません。

でも、やっぱりちょっと高すぎかも(笑)


Photo by Rob Lavinsky / iRocks.comCC BY-SA 3.0


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