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mitsukisora
詩みたいな【春】#シロクマ文芸部『三月は』
小牧幸助さんの企画「三月は」に参加させていただきます☆
お題「三月は」から始まる物語
【春】(620文字)
三月は春なのか?
散歩に行くのに、なに着よう。
冬のコートはさすがに重い。
裏地付の薄手のコート?でも、だんだん暑くなることもある。
結局、歩いているうちにちょうどよくなるだろうとカーディガンにする。
外に出ると、まだ冷たい風がピュウと吹く。
風は三枚重ねた服を通り越して素肌に届く。
やっぱり薄すぎたかな。
でも戻ることはせずにドンドン歩く。
早く温まるように。
小一時間歩いたら食事にしよう。
今朝はなにを食べようか……。
最近は一日二食だけど、一回目の食事のことはなんと呼ぶのだろう。
二回しか食べない食事の一回目を朝食と呼べるかどうかは微妙な気がする。
三月を春と呼んでいいのかが微妙な程度に。
などと、どうでもいいことを考えながら鳥の声に耳を傾ける。
春になると鳥たちはおしゃべりになる。
チュンチュン、チーチー、チチッ、ピチュピチュ……。
民家の庭先には梅が咲き始め、川べりには水仙も咲いている。
やっぱり三月は春、か。
かなり歩いて、体が温まってくる。
お腹がちいさくクゥと鳴る。
昨日の夕食から十五時間。
そうだ、パスタにしよう。
一食分、残っていたはず。
菜花にクコの実、卵でとじて。
味付けは塩。
春色パスタ。
帰宅する。
しかしパスタが……ない。
……クシュン。
唐突に、くしゃみがでる。
三月は春だから。
にしても、まいったなぁ……。
すっかりパスタ腹だったのに。
冷蔵庫を探ると個包装のお餅がふたつ。
もうしわけなさそうに汗をかいている。
冬のなごりで、お雑煮にする。
案外、ちょうどいい。
© 2026/3/1 ikue.m
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