納涼天国・クラシック編~暑い夏には音楽で「涼」を浴びよう
連日の猛暑で、すっかり頭も体も溶けかかっています。
こんなときは、エアコンの効いた部屋で静かに過ごすのが一番。
でも、ただボーッとしているだけじゃもったいない。
「何か良いBGMないか……」
と音楽ライブラリを漁っていたところ、
ふと、クラシックはどうかな、と思いつきました。
意外なことに、これがなかなか「涼しい」んです。
音楽って、温度も湿度もないはずなのに、どうしてこうも季節感があるんでしょうね。
クラシック音楽には、自然や風景、時間のうつろいを描いた作品がたくさんあります。
なかでも“夏”や“水”をテーマにした曲は、空気の揺らぎや木陰のそよ風、涼やかな水面のきらめきまで感じさせてくれるような、五感にひんやり届くものが多いのです。
なんせ、エアコンのない時代に、それこそ「涼を求めて」作られた曲もあるわけですから……。
風鈴や打ち水のように、音で涼をとるというのは、実はとても贅沢な納涼法なのかもしれません。
というわけで、「納涼天国・クラシック編」。
うちわとともに常備しておきたいクラシックCDを5枚ほど紹介します。
耳から涼しさを取り入れて、少しでも心に風を通してもらえたらうれしいです。
1.ヘンデル:水上の音楽
さわやかさが最大の“売り”であるヘンデルの代表作。
イギリスの新しい王となったハノーバー公がテムズ河で船遊びをしたとき、ヘンデルは音楽隊を乗せた船を浮かべて演奏したというエピソードが残っています。
スケールの大きいことに目がないヘンデルならでは、です。
曲のさわやかさといい、シチュエーションの涼しさといい、貴方の「納涼天国」を演出してくれること間違いなしでしょう。
<私のおすすめCD>
バロックですから当時の楽器(古楽器)で聴いてみてはいかがでしょう。現代楽器にはない素朴な響きが爽快です。ピノック盤がおすすめ。カップリングは「王宮の花火の音楽」。好都合なことに「花火」もまた夏の風物詩のひとつですから、この1枚まるごと、かなり夏向き!
……とにかくさわやかなので、朝に聴けば一年中いけます。
2.ディーリアス:河の上の夏の夜
こちらも、イギリスを代表する作曲家、ディーリアスによる小品です。
川に舟を浮かべて聴きたいところも同じ。
ただ、こちらにはゴージャスさはなく、素朴さを売りにしています。
静かにそよ風が水面を渡り、草むらではカエルがゲコゲコ鳴いているような風景。……のどかですね。
そういう牧歌的な風景が目に浮かぶような静かな曲です。
イギリスの田園風景を想いながら聴いてみてください。
<私のおすすめCD>
ディーリアスならこの人、サー・ビーチャムによる1枚がよいと思います。この曲以外にも「春初めてのかっこうを聞いて」や「丘を越えて遙かに」など、タイトルを聞いただけで「いいっ!」と思ってしまう曲がたっぷり入っています。持っているだけで幸せな気分になれる名盤です。
3.ムソルグスキー:はげ山の一夜
「音楽で描写できないものなど何もない!」と豪語していたムソルグスキーの代表作。
音楽を聴いていて、こんなにイマジネーションをかき立てられるのも、この曲ならではの体験です。
ストーリー、場面ごとの情景、登場人物(登場魔物?)まで、ディズニーの『ファンタジア』を観たことがなくても、あれと同じような映像が目に浮かぶことでしょう。
これって、かなり凄いことです!
<私のおすすめCD>
デュトワ盤を愛聴しています。ムソルグスキーのもうひとつの代表作「展覧会の絵」も入っていて盛りが良い1枚です。というか、主役は「展覧会の絵」ですね。こちらはムソルグスキーのピアノ曲を“オーケストラの魔術師”ラヴェルが巧みに色をつけた作品。まさに“音の絵画”。このカラフルさがたまりません。目の前に(一度も見たことのないはずの)絵が現れる不思議な感覚を味わってみてください。
4.メンデルスゾーン:真夏の夜の夢
シェークスピアの同題の戯曲に着想を得たロマン派・メンデルスゾーンの代表作。
妖精たちの住む森で繰り広げられる幻想とユーモアに満ちた物語にぴったりの、まるで“画集”のような劇音楽です。
全部で14曲から成る曲集のうち、序曲はメンデルスゾーン17才のときの作品。
また、どこの結婚式場でも1日1回は必ず鳴り響く(と思われる)「結婚行進曲」は、この曲集の中の1曲です。
<私のおすすめCD>
名指揮者・クレンペラー盤をぜひ。全曲盤ではない(10曲のみ抜粋)という不満はありますが、それを補ってあまりある充実感を与えてくれる稀代の名演です。夢幻的な美しさにあふれ、まさしくロマンティック!ちなみに、メンデルスゾーンの書いた全ての音を1枚に収めたCDをご所望ならプレヴィンの旧録音をどうぞ。
5.ラヴェル:夜のガスパール
「夜のガスパール」は、もともとベルギーのロマン派詩人ベルトランが幻想と怪奇の世界を描いた詩集です。
その中からラヴェルが3編を選んでピアノ曲にしたのがこれ。
とはいえ、詩に曲をつけたわけではなく、純粋にラヴェルの想像力の産物です。
題材が“怪談”で夏っぽいこと、第一曲が雨の日の夜やってきた「水の精」を描いていて、いかにも涼しげであることから選んでみました。
<私のおすすめCD>
天才ピアニスト、女流アルゲリッチの鬼気迫る演奏で。アルゲリッチならではのスリリングなドライブ感が狂気と不気味さを演出します。
また、ラヴェルのピアノ曲なら「水の戯れ」が夏向き。水のしずくがそのままピアノの音になったような名曲です。
いかがでしたでしょうか?
クラシックにも、こんな納涼的な楽しみ方があったとは――
と思っていただけたならうれしいです。
今後も、TPOに合わせた音楽紹介も(気まぐれに)企画していきたいと思います。
それでは今日はこのあたりで。
音楽とともに、よき夏の日を!
たくさんのnoteの中から、私の記事を見つけて読んでいただき、
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