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結婚できる人の、自分磨き

「彼女がほしいなら、自分を磨け」

5年前、YOUTUBEの画面に釘付けになった。見ためが強烈なフォント、目をひくようなサムネイルとタイトルに、ぼくは思わず動画を再生していた。彼女を一生懸命に探していた頃だった。真夜中のベッドの中で、スマートホンの画面にかじりつきながら、恋愛を勉強していた。

ぼくにとって、この年の流行語大賞は「自分磨き」だった。いろんな恋愛系ユーチューバーの動画を見ては「自分磨き」という言葉を聞いた。まるで、催眠術をかけられているかのように繰り返し聞いた結果、ぼくはダイエットをはじめた。

ダイエットをはじめた理由は「自分磨きとは、清潔感を上げること」と思ったからだった。ご飯は鶏むね肉に、ブロッコリーと玄米、そしてプロテインをシャカシャカする。プロテインを飲むときは、よくわからないが上半身を裸体にして、腰に手を当ててゴクゴクと飲む。

そして、運動だ。ジムに行き、中山きんに君の動画を流しながら、胸をバチッバチに鍛える。鏡の前に立って、胸筋の成長を誇らしげに眺める。そして、BEAMSで買った白Tシャツを着て、表参道に繰り出し「俺、キマッてるよな」と周りを見渡す。気分はローランドだ。自己肯定感とやらも爆上がりだった。これで、彼女もできるはず!と信じていた。

しかし、この生活で彼女ができることはなかった。それどころか、ジムの入会費と、BEAMSで買った1万円近くのTシャツにより財布からお金が飛んで行った。得たものは、ゲイの友人から「その胸、素敵よ」と、優しく触られたくらいだ。たしかに、ぼくの胸筋はかなり育っていた。結局、ぼくの自分磨きは筋トレで終わった。


あれから、5年が経った。

ぼくは、結婚している。結婚して2年経つが、いまだに「結婚してるんだな」と思うことある。10年も彼女がいなかった自分には、いまの生活が信じられないからだ。そして、あの頃の自分と、今の自分は明らかに違っているようだ。

先日、久々に大学の友人たちとご飯にいった。そのとき、女性たちから「なんか昔よりも視野が広くなったというか、イケメンになったね」と言われた。振り返れば、ぼくの人生に「我、イケメン」の文字はなかった。整形なんてしていないのに、人生で初めてイケメンと言われた。

別に痩せたわけではない。むしろ昔よりお腹に肉が乗っている。まるで551の肉まんだ。いや、コンビニで売っているチャーシュー角煮マンだ。たしかに、お世辞で「はい、イケメン」と言われたことはあった。しかし、女性たちの真っすぐな瞳で言っていたあれはお世辞ではなかった。「内面イケメン」というやつの褒められ方だった。

どうやら、10年ぶりにできた彼女との日常、そして夫婦生活を経て変わったようだ。振り返ると、「自分磨き」について色々見えてきた。

これは、男女に共通して言えることだが、自分磨きとは飾りや偽りで作るものではない。その場しのぎのダイエットも、ちょっとだけ高価なもので着飾ったり、セミナーで習った「モテる女性が使う言葉」みたいなものを使っても、時間が経てば剥がれ落ちてくる。

冒頭、ぼくが必死に動画をあさっていたのも、今の自分を隠すためのヒントを探していたにすぎなかった。しかし、それを探したところで、自分の「真の部分」は何も変わらないのだ。真の部分とは、核(コア)となる部分だ。偽りの自分磨きは、コアを玉ねぎの皮みたいに包んでいく作業だ。

一方、「ありのままの自分を愛してほしい」という人がいる。それは、コアをスッポンポンにしている人だ。しかし、それは愛されない。何故なら、人は「少しだけコアを隠されたほうが魅力的に思う」からだ。

コアを厚く覆いすぎても、剥きすぎても人は離れていく。大事なのは、芯を少しだけのぞかせること。そのとき初めて、人は「もっと知りたい」と思うのだ。自分磨きとは、皮を重ねる作業ではなく、コアそのものを熱くしていく作業なのかもしれない。

具体的に熱くする方法とは何か。ぼくは「考えて答えを見つけていくこと」だと思う。何でもいいから考えて、試行錯誤して生きることだ。ここで勘違いしてはいけないのが、「悩む」と「考える」は違うのだ。悩むは停滞で、考えるは前進なのだ。

たとえば、彼女がほしいと悩むことは何も進まない。一方、彼女ができる方法を考えて行動するのは前進する。そして、その目的を果たすために試行錯誤して答えにたどりつき、はじめて成長を感じるのだ。そうすると、コアが熱くなる。コアを熱くすればするほど、人は自信を得ていくのだろう。

5年前のぼくは、動画の中に答えを探していた。けれど今は、自分の中に問いを立てて、考えながら歩いている。結局のところ、自分磨きとは「止まらずに考え続ける」こと。そして、その熱をまとったコアが、人を惹きつける本当の魅力になるのだと思う。

彼女とつきあって、知らず知らずのうちに本当の自分磨きを知っていた。もし自分磨きがいまいちわからなければ、本やnoteを読んで「自分だったらどうだろう」と考えてみてほしい。そして、思ったことを文章にまとめたり、何かしら行動に移してみてほしい。

それが、自分磨きに繋がるかもしれないから。

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