♪ 深夜の美しき仮面 ♪
SNSや生成AIなど、デジタルの世界では、現実とは少し違う自分を作り、表現することができます。それは創作の一つでもあり、普段は見せにくい自分を外へ出す方法にもなります。
今回は、そうした表現そのものではなく、誰かに見せるために整えた人格が、反応を得るたびに少しずつ育ち、やがて現実の自分までその人物に合わせ始めたら――という発想から、この曲を作りました。
フロイトをはじめとする心理学に見られる、人間の内側と外側のずれを、匿名性や自己演出が身近になった現在へ移した歌です。
深夜に作った美しい仮面に、いつの間にか現実の自分まで似せていく。自分が仮面を演じているのか、仮面の方に自分が演じさせられているのか、その境目が曖昧になっていく様子を描いてみました。
深夜の美しき仮面|歌詞
午前0時 肩書きを足す
行ったことない街を 語る
借りた言葉を 磨きながら
知らない誰かと 語り合ってる
冷めたコーヒー 通知が3つ
現実よりも 返事が早い
昨日のわたしを 少し消して
今日の彼女を 仕上げていく
嘘ではないと
何度も直した
本当のことより
きれいに並んだ
I made her beautiful
She made me disappear
I gave her all my answers
Now she keeps me here
朝の鏡 口紅を引く
昨夜の彼女に 似合う色
興味もない本を 持ち歩き
投稿どおりの 昼を過ごす
昼休みには 慎ましく笑い
画面の中では 答えを配る
誰にも 頼まれていないのに
正しい生き方 予約投稿
わたしが先に
始めたはずが
ログインするたび
向こうがわたしを開く
削除の文字に カーソルを置いて
3分だけ わたしに戻る
けれど通知が ひとつ鳴った
彼女は今日も 評判がいい
I made her beautiful
She made me disappear
I gave her all my answers
Now I work for her
午前2時 明日のわたしを
彼女のために 洗って干した
深夜の美しき仮面
朝には わたしを着て出かける
