見出し画像

エッセイ『小説で勝つために。孫子に学ぶ兵法』作 澤檸檬

 まず初めに、タイトルを否定するところから始めさせてください。
 小説に勝ち負けという概念はありません。少なくとも私はそう思っています。
 しかしながら、Web小説においてランキングや評価などはつきものでして、そのランキングにおいての上下は存在します。
 それを勝ち負けと呼ぶのは、個人的に好ましくないと思っています。ですが、孫子『兵法』的には勝敗と呼び、それが様々なことに応用できると考えられているんです。
 
 小説にあるのは、作品としての質の違いでしょうか?
 面白い、面白くない、でしょうか?
 芸術性の有無でしょうか?
 私個人の意見としては、読者の方が『面白い』と思ってくれるかどうか。何か心に残ったものがあるかどうか。そう考えています。

 まぁ、そんな私見は置いておくとして。
 いや、それぞれの意見を持ったまま、孫子『兵法』について学んでいきましょう。
 そうすれば、それぞれの感想を抱き、それぞれの学びを得られるはずです。

 まず初めに、孫子は勝利するためには5つの方法があるとしています。

1、戦況を見極めることが出来れば勝つ。
2、大軍と小勢の用い方を知っていれば勝つ。
3、上下の人々が心を合わせれば勝つ。
4、準備を整え、油断した敵にあたれば勝つ。
5、将軍が有能で主君が干渉しなければ勝つ。

 この5つには共通点があり『戦いの中でどう勝つか』という戦術的な優位性よりも、戦略的な優位性が重要だと説いているのです。

 つまり、です。

1、どう戦わないで勝つか。
2、戦いを避けて優位性を保つにはどうすればいいか。

 この2点こそが、真に必要な要素である、ということです。

 さて、これが孫子『兵法』の本質をざっくりまとめたものです。
 ここからどう小説に応用していくべきか。
 それを私なりに考えてみました。
 
 まず、己を知ること。
 自分に書けるジャンル、得意な描写、得意なキャラクター。
 逆に苦手なジャンル、苦手な描写、苦手なキャラクター。

 そして戦場を知ること。
 現在、どのような作品が人気を得ているのか。
 流行の流れはどのように動いているのか。
 冷静に分析し、作家として小説界にどのような波を起こせるのかを考えるのです。
 これが『戦況を見極める』にあたるところでしょうか。

 続いて提示したいのは『将軍が有能で主君が干渉しなければ勝つ』です。
 作家としての自分を『国』として考えた場合、『書きたいと思う心』は将軍です。書きたい心がどれほど努力し、考え、実践を積むか、で結果は大きく変わります。

 そこに干渉してくる主君が『生活や仕事、疲労や環境』です。
 とどのつまり、どうしたって多くの人は『執筆』は『生活の一部』でしかない状態にあるということ。
 生活に干渉され、小説を書きたいという心が温度をなくしていくと、良い小説を書けるはずがありません。

 ここで孫子的思考をするのならば『どう戦わないで勝つか』です。
 生活は生活。普通に考えれば、生活の全てを犠牲にして小説を書くなどほとんど不可能です。
 そんな主君たる生活と戦う、ということ自体が誤り。
 考えるべきは、生活と張り合うことなく小説を書くこと。
 
 どの時間なら書けるか。どんな状態なら書けるか。
 無理のない執筆時間はどれくらいか。その時間内に何文字進められるか。
 自分の能力を知り、生活を犠牲にしない範囲で書くことを考えましょう。
 
 そうすれば、生活の中に執筆を溶け込ませることが可能になります。
 そもそも自分の生活とはインプットの宝庫ですから、生活時間を犠牲にしないことで、上質なインプットが行える。そう考える方が健康的であると言えます。

 次にどうすれば、具体的に私が考える『勝ち』、つまり『読者に面白いと思ってもらえる』に繋げられるのか。
 それは『戦いを避けて優位性を保つ』にあると思っています。

 小説のジャンルというものは既にある程度固まってきており、新たなジャンルを生み出すのは難しい状況でしょう。
 もちろん、新しいジャンルを生み出すことが最善策であることに違いはありません。ただ、難易度が高い。
 その上で、自分の得意ジャンルにおいて、他の作品とは被らない自分だけの強みを探ること、です。
 オリジナリティと言い換えても良いでしょう。
 自分だけの強みを探り、そのジャンルの中で尖り、飛び抜けること。
 これこそが、『戦いを避けて優位性を保つ』方法なのではないでしょうか。

 以上が澤檸檬なりに考える孫子『兵法』を用いた、小説での勝ち方です。
 やはり勝ち方、なんて言い方はしっくりこないですね。
 最後の最後ですが、面白いと思ってもらえる小説の書き方、としたいところですね。
 そして、すべての人に面白いと思ってもらえる小説を書くために、努力を続けたい。そんな気持ちで今日も私は書き続けています。

 澤檸檬でした。

いいなと思ったら応援しよう!

ペン先の欠片 少しでも応援の気持ちをいただければ幸いです。 もちろん、読んでいただけるだけで嬉しいですし、シェアなんて感涙ものです。