夜行性の黒板消し【毎週ショートショートnote】
小学校の夏休みにケンタとタケシは夜明け前の山の中にいた。クヌギの森にクワガタがたくさん集まってくるのだ。
「転ばないようにね」
「うん。大丈夫」
空は白んできたが鬱蒼とした山の中は懐中電灯の光が必要だった。
「見て、あそこ。たくさんいる!」
「うわっ!スゲー!ミヤマもヒラタもいる!」
二人はワクワクしながら近づいて、手づかみしようとしたときだった。
「いたっ!」
「どうしたの?」
「何か、落ちてきた」
「頭が粉だらけだよ」
足元を見ると黒板消しが転がっていた。
「なんだ、これ?」
「なんで、ここにあるの?」
「いたずら?」
「まさか」
二人はいたずらを苦に学校をやめた先生を思い出していた。
『ガサガサッ』
茂みからスーツ姿の男が突然現れた。黒板消しを拾うと、小さな声でつぶやいていた。
「こんなところでいたずらしてたのか。逃げちゃダメじゃないか。夜行性だから、檻に鍵をかけてから寝ないとダメだな」
男は黒板消しを大事そうに抱えながら茂みに消えていった。
(410文字)
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