接吻代行【毎週ショートショートnote】
「お姉ちゃん、元気?」
「元気だよ」
就職してあっという間に3年が経っていた。去年の4月に異動があり、今はドイツで暮らしている。
妹とは家族のグループラインでたまにやり取りしている程度なので、ビデオ通話で連絡が来るとは珍しい。
「ネロちゃんなんだけどね」
「ネロがどうしたの?」
私が小学生の時にどうしても犬を飼いたいと両親にお願いし続けていた。生き物を飼うとは一生面倒をみることなんだぞ、軽い気持ちでは飼えないぞと諭されていたけど、4年生になった年にトイプードルを飼い始めた。
ネロが初めて我が家にやってきた日が生きてきたなかで一番幸せな日だった。毎日一緒に散歩して、一緒の布団で寝た。
ドイツへの異動が決まったとき、実家の妹がネロの面倒をみてくれることになった。
「首にシコリがあってさ、病院に行ったんだ」
「…うん、それで」
「ガンだって…」
「…」
スマホにはネロがヨロヨロと歩いて来て、スマホの画面をペロペロと舐めている姿が映っている。
(410文字)
フィクションです
たらはかにさんの企画に参加しています。
毎週ありがとうございます。
#毎週ショートショートnote
#ショートショート
#接吻代行
いいなと思ったら応援しよう!
サポートして頂いたら有料記事を購入します!