十二月_01🚃【追憶食堂】【シロクマ文芸部】
十二月で40歳か…
横田直輝がいまの会社に入社してから18年が経っていた。25歳で結婚して、30歳のときに一人息子が生まれた。月日が経つのは早いものだ。満員の通勤電車に揺られながら、しみじとそう思っていた。
電車の中ではスマホアプリ『ラジコ』でラジオを聴くのが習慣になっていた。直輝の住んでいる春日部から都内の会社までの約1時間、ずっとラジオを聴いている。『ラジコ』にはタイムフリー機能があり、いつでも自分の好きなタイミングでラジオが聴ける、革命的なアプリだ。
…
午前中の仕事を終え、昼休みに自分のデスクで弁当を食べているとラインの通知音が鳴った。お袋からだ。家族のグループでなく、直接自分宛てに送ってくるのは珍しいなと思いながらラインを開いた。
『時間があるときに電話ください』
なんとなく、只事ではない感じがした。弁当を食べ終えると外に出て、お袋に電話した。
「もしもし」
「もしもし、直輝。元気?」
「ああ、それより何かあったの?」
「それがね、お父さんがガンで入院したの」
「えっ?ガン?親父、ガンなの?」
「ガンって言っても、手術すれば治るんだって」
「そうなんだ。で、いつ手術するの?」
「明後日よ」
「なんだ、急だな」
「たまたま、その日が空いていたのよ。ほんとうなら数週間以上待つみたいよ」
「病院に行けるかな」
「直輝は仕事が忙しいでしょ。手術は大丈夫だから」
「じゃあ、手術が終わった見舞いにいくよ」
「そうしてあげて」
親父は今年で65歳になる。そろそろ、両親の今後のことも考えないといけないなと思いながら午後の仕事にとりかかった。
ショートストーリー?をつなげて連載中です。毎週金曜日頃に投稿予定です。
目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
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