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hiiro_archive153
文学茶釜【毎週ショートショートnote】
文学茶釜を買った。
AI搭載で音声で温度設定ができる優れものだ。
必要ではなかったが、ブラックフライデーで衝動買いしたのだ。
早速、コーヒーを淹れよう。
「90度に沸かして」
「よくわかりません」
滑舌が悪かったのかな?
「90度に沸かして」
「理学は苦手です。文学的にお願いします」
なんだこいつ。
よし、やってやろうじゃないか。
「口に含む一瞬、その奥で、はるか遠いコーヒー豆の産地の太陽がまろやかに蘇る温度」
「わかりました」
わかったんかい!
「ミルク用に40度で沸かして」
「よくわかりません」
「母の腕の中に静かに満ちる、安堵と愛情の温度」
「わかりました」
めんどくせー。
文学的表現が出てこなくなったので、理学茶釜に買い替えた。
早速、コーヒーを淹れよう。
「90度に沸かして」
「摂氏ですか?華氏ですか?」
「摂氏90度で沸かして」
「気圧を教えてください」
「わかんないよ」
「では、現在地の標高を教えてください」
うぜー。
やっぱり茶釜はアナログに限る。
(410文字)
ちなみに、自分は理系です。先日、なにげなく YouTube を眺めていたら『理系がモヤモヤする言葉』がでてきました。
定義にうるいさい理系ネタ(数学ネタ寄り)で、とってもウザくて面白かったです!
田原にかさんの企画に参加しています。
毎週ありがとうございます。
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