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読書手術【毎週ショートショートnote】
『受付番号34番の方、診察室にお入りください』
陽菜は読みかけの本をとじると診察室へと向かった。
「そちらにおかけください」
「はい…」
気持ちがソワソワして落ち着かない。30歳になっても病院という場所に慣れることはない。
「今日はどういった症状でしょうか?」
「そのぉ…。読んでいた本に手紙が挟まれていまして」
「ええ」
「夫宛の手紙だったんです」
緊張からか手が震えていた。
「落ち着いてください」
「とにかく気になって、寝れないんです…」
「個人的なことを伺って恐縮なのですが」
「はい…」
「陽菜さんは独身でしたよね?」
「そうです」
「いま話されているのは、ご自身のことですか?」
「いえ、いま読んでいる本のことです」
「典型的な活字中毒ですね」
「やっぱり、そうですよね…」
「では、読書手術をご希望ですか?」
「はい。受けてみたいと思います」
読書手術とは脳の信号の一部をインプットからアウトプットに切り替える治療方法だ。
陽菜は原稿を医師に手渡した。
(410文字)
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