梅雨占い【毎週ショートショートnote】
駅を降りると、傘を差しながら高校に向かって歩いていた。お寺の前で立ち止まると、目をつむり祈るように両手を握った。
「お願いします」
ゆっくり横を向いて目を開いた。青い紫陽花の中に、ひとつだけピンク色の花が咲いていた。
「やったぁ」
告白するのは今日に決まった。
憂鬱な雨の日を素敵な日に変えてくれたのは僚也だった。入学して間もない頃、傘を忘れた私は昇降口で途方に暮れていた。「俺の、使う?」そう言って、二本持っていた傘のうち長い方を私に貸してくれた。
教室に入り、廊下側の私の席に座った。何気なく外の様子を伺うように窓際に座っている僚也を盗み見る。なぜか、いつもと様子が違う感じがする。どことなく雰囲気が暗い。
「ねえ、知ってる?怜那が昨日から家に帰っていないんだって」
怜那とは僚也の彼女だ。1時間目の化学の授業が始まった。
「酸とアルカリについてです。今日は雨が降ってますが、酸性雨の影響もあって紫陽花は青色になりやすいのが特徴です」
(410文字)
#毎週ショートショートnote
#ショートストーリー
#梅雨占い
いいなと思ったら応援しよう!
サポートして頂いたら有料記事を購入します!