頬を赤らめる女と黒い網タイツの女【恋着(なんのはなしですか?)】
初めて彼が、夜のドライブに誘ってくれた。
いつもは、暗い部屋のなかで彼の帰りをただ待っている。
彼が帰ってくると、私の膝の上に座ってくれる。
彼のぬくもりが伝わってくる。
初めて見る外の世界は月明かりが綺麗で、とても寒かった。
どこへ連れていってくれるのかは、わからない。
車内には、彼がいつも聴いているラジオが流れていた。
目的地に到着すると、入口で彼が私の背中をそっと撫でてくれた。
「…ありがとう」と言って。
改まった彼の態度に、頬を赤らめつつ、嫌な予感がした。
彼は私をその場に残して、奥へと消えてしまった。
お願い、いかないで…
私をひとりにしないで…
やがて、再び姿を現した彼の隣には、黒い網タイツの女がいた。
仲睦まじく手をつないで歩いてくる。
彼は振り返ることなく、女と一緒に外へ出ていってしまった。
私は、もう、あなたには必要ないのね…
こうして、別の誰かに売られていくのね…
私は店員の手でリサイクルショップの椅子コーナーへと運ばれた。
なんのはなしですか?
昨年、ニトリで椅子を買いました。

(画像はニトリ公式HPより引用)
「お、ねだん以上。」の座り心地と赤色が気に入っていました。
駄菓子菓子!
「お、ねだん以上。」ではあるのですが、クッションが薄いせいか、長時間座っていると腰に負担がかかるようになってきました。
できれば、もっとクッション性が高いのがいいな、汗っかきだから革や合皮ではなくてメッシュがいいな、と思っていました。
そんなある日、たまたま立ち寄ったリサイクルショップで運命の出会いが待っていました。一目惚れでした。

(画像はニトリ公式HPより引用)
定価を調べると約4万円でした。それが驚きの『11,000円(税込)』で販売されていました。直感でこれは買いだと思いました。
店内で、リクライニングの上げ下げ、肘掛けの上げ下げ、フットレストの出し入れを何回も何回も繰り返しました。
動作確認、ヨシッ!
指差し確認、ヨシッ!
ということで、その場で商品を抑えて一旦家に帰りました。赤い椅子を車に積んでリサイクルショップに戻ると売却して、黒メッシュの椅子を購入して持ち帰ったのでした。
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